能登半島地震 必要な支援と課題は?首長発言から【5月21日】

能登半島地震から4か月半余り。

石川県の「災害対策本部員会議」には被災自治体の首長などが参加し、今の被災地の状況や今後の見通し、課題などを報告し、必要な支援なども訴えています。

会議に出席した市長らの発言をまとめました。

※発言の順番に掲載しています。

輪島市 坂口茂市長「水道 5月末の全戸復旧目指す」

「5月末をもって自衛隊の支援業務が完了。全国の自治体職員による※対口支援業務・総括支援業務が終了する。発災から5か月にわたる支援に対し、改めて心より感謝申し上げる」

※対口支援:避難所の運営などの災害対応業務について被災した都道府県内の応援だけでは難しい場合に、国が被災した自治体に支援する自治体を割り当てて職員を派遣してもらう仕組み。

「輪島市の現状。1次避難者の人数は、前回報告(5/8)から179人減って844人に」「水道復旧は道路崩落などで復旧困難な戸数を除くと。復旧率は21日で97.2%。5月末の全戸復旧を目指したい

「早期復旧と創造的復興に向け取り組んで参りたいので、中長期の派遣職員の確保も含め今後ともよろしくお願い申し上げる」

珠洲市 金田直之副市長「給水困難地域除き5月末にすべて給水へ」

「避難所19か所に冷房設備を設置いただけるということで、大変ありがたく感謝申し上げたい」

「災害ボランティアについて。2月3日から入っていただいているが、一般ボランティアで8900人を超えている。専門ボランティアも5000人を超え、合計で13962人に入っていただいた。5月のゴールデンウィークの際も、10日間で2384人、1日最大で400人を超えるボランティアの方に協力をいただいた」

「避難所について。珠洲市では30か所460人程度の方が避難。今月(5月)、いくつかまた仮設住宅が完成するのでもう少し減っていく見込み」

家屋調査は1次調査完了が16000棟。2次調査は2800棟余り完了し、残りが200棟余りで、めどがつきつつある。3次調査の申請も上がってきており、これも230棟余り調査を終えている」

「珠洲市が最も遅れていた給水状況。約4800世帯のうち給水率は約73%でかなり復旧してきたが、まだまだ多くの方に迷惑をおかけしている状況。珠洲市でも土砂崩れ、あるいは倒壊家屋が重なっている給水困難地域、約680戸を除いて、5月末を目途にすべて給水できるよう努力している」

「応急仮設住宅について。現在1500棟余りを計画しているが、21日現在で97%・1488世帯分を着工済み。21日現在、完成は854戸で率にして約56%。7月末までに7割くらいの完成を見込む。8月中にすべての応急仮設住宅の完成に向け取り組んでいきたい

「公費解体について。現在、発注済みが90件・144棟。このうち完了が36件・56棟。公費解体の申請は1830件、棟数に換算すると2800棟余りを受け付けている。予定棟数を、おおむね7000から7500棟と想定すると、受理したものは約37%で、3分の1程度。これまで以上に公費解体の申請を促して参りたい」

「珠洲市では4月30日から市内で地区説明会を順次開催。20日までに14か所、のべ25回開催しており、874人に参加をいただいた。加えて石川県に協力いただき、県庁でも5月11日と12日の2日間、のべ4回開催。参加者は347人で2次避難あるいはみなし仮設に入っておられる方を中心に参加いただいた。トータルで21日までに1221人に参加いただいている。今週末までに市内すべての地域で説明会を終えるべく取り組んでいる」

「先週土曜18日に第1回復興計画策定委員会を開催し、20人の委員の皆様に委嘱し、年内の計画策定を目途に進める段取り」

穴水町 吉村光輝町長「災対本部を解散、復旧復興本部へ移行」

「はじめに発災当初から設置していた穴水町災害対策本部について、発災から4か月半が経過し、これから本格的な復旧と復興に向けて取り組んでいくため、21日付けで町の災害対策本部を解散し、穴水町復旧復興本部に移行した

「発災当初から国や全国の自治体や団体などから支援いただき、ライフラインやインフラなどが予定した時期よりも早く復旧が進んだことにより、災害ごみの仮置き場の設置や、り災証明の発行、仮設住宅の建設、公費解体なども順調に進んでいる」

「避難所も発災当初は58か所に約3800人が避難していたが、仮設住宅の建設の進捗(しんちょく)などにあわせて、現在は避難所も7か所、避難者は62人にまで減少している。避難所については今月末までに5か所となる予定で、6月末の仮設住宅の完成を機にすべての避難所が閉鎖する見込みとなっている」

「町民に長く不便をかけた避難所生活も、これからは自立した生活スタイルへと移行していく。復旧復興本部の設置によって震災からの復旧復興はもとより、被災者へのケアにも重点をおき、町全体で見守っていくような体制整備を強化していく。仮設住宅の入居者や被災者の見守りや声かけにはマンパワーが必要となることから、その人員確保にも早急に対応していきたいと考えている」

「20日に石川県の創造的復興計画案がまとまり、スローガンと13のプロジェクトが発表された。町でも今週末の24日に、第1回目となる穴水町復興計画策定委員会を開催し、これから本格的な復興計画の策定に着手していく。各世代、各分野からの意見などを広く取り入れながら、町民が共同でつくり上げられるような、未来の穴水を想定した計画策定を行っていく。引き続き支援をお願いしたい」

「仮設住宅は532戸が着工済みで、うち424戸が完成。公費解体は申請棟数1677棟に対して、解体完了が28棟となっている」

能登町 大森凡世町長「駐在所に警察官不在で不安広がる」

「避難者は125人で、前回(8日)の報告から34人の減となっている。避難所は12か所から変わりはない」

「家屋の公費解体は、これまでに823件1079棟を受け付けし、今年度に入って60棟の工事を発注済み。順次解体が進んでいる」

「応援職員の短期派遣について。発災以降、※対口支援として滋賀県、岩手県、宮城県、茨城県、和歌山県からの支援を受けてきた。5県の職員の皆さまには、避難所運営、家屋調査など震災に起因する災害対応業務を担ってもらった。おかげさまで、現在では避難所の集約化などが進み、家屋調査の2次調査も大半が終了した状況だ。このようなことから短期派遣は今月末をもって終了することになった。精いっぱい、心を込めて町を支えてれた応援県の皆さまには、改めて感謝を申し上げたい」

「町づくりの意見交換会について。17日の金曜日から町内各地で復興の町づくりに向けた町民との意見交換会を開催していて、今週は土曜まで毎日開催する。役場から幹部が出席し、復興計画の方針やスケジュールなどを説明したうえで、町民から自由に意見や質問をいただき、それに答えるかたちで進めているところ。困りごとから将来のあり方まで幅広く意見を頂戴していて、今後、実施を予定している町民アンケートや対話会などとあわせて、しっかり復興計画の策定にいかしていきたい」

「最後に、警察の駐在所について。現在、町内では県警のみならず、ほかの都道府県のパトカーが仮設住宅を含めて巡回をしてくださっていて『見える警備』によって治安の維持向上がはかられていると考えている。一方で、町内の地域にある駐在所については、建物が被害を受けたなどで、すべての駐在所で警察官不在の状況が続いている。町民の中にはすでに駐在所が廃止されたと受け止めている人も多くいて、大変不安が広がっている状況だ。他県からの応援も今後、縮小していくと思うので、できるだけ早く、たとえば日中だけでも警察官の駐在というのを再開してもらえるようお願いしたい。時間がかかるようであれば、そうした状況を各地区に説明なり、広報してもらうことによって、町民の不安の払拭(ふっしょく)に努めてもらいたい」

七尾市 茶谷義隆市長「仮設住宅に移行で新たなニーズも」

「避難所は1か所減って4か所となり、避難者数は151人となっている。5月末に開設できる仮設住宅があり、避難者数は大幅に減るものと考えている」

「り災証明の状況。2次調査の申請件数は3128件、調査件数が2077件と、まだ残り1000件余りあるが、班を増やし、1日あたり60から80件を処理しているので、あと20日間程度で調査は終えられるのではないか」

「ボランティアセンターは、ニーズの申し込みを20日でいったん打ち切らせていただいた。今現在、ニーズの残りが700件余りあり、1日あたり処理できるのが20件程度なので、まだ1か月半程度かかるためだ。ただ、全く受付をしないという訳ではなく、ボランティア業務は継続して行われているので、どうしてもというニーズがあれば、受付をしている状況だ」

「公費解体の申請件数は1169件、棟数で言うと1680件。そのうち処理しているのが75件で、解体の発注を開始しているのが12件となっている。今後、解体の方が加速化されていくのではないかと考えている。自費解体も申請件数32件、棟数で35件となっている」

仮設住宅に移行するにあたり、例えば、仮設住宅のエリアの町会をどうするのかなど、新しい課題がいろいろと発生しているので、そういう市民のニーズにも丁寧に対応していきたい」

志賀町 稲岡健太郎町長「仮設住宅の応募増にも柔軟対応を」

「避難所は、前回の報告から2か所閉鎖して24人減少。5施設148人の避難者・避難施設となっている」

「公費解体は5月7日から解体工事に着手し、現在5班体制で町内で行っている。受付は1941棟」

「災害ゴミは1日平均567台、約104トンを受け付けている。前回報告からわずかに減少してきているが、まだまだ災害ゴミが出続けると思われる」

「ボランティアのニーズの受付がこれまで累計2073件、参加ボランティアも累計8529人。前回も報告したが、ボランティア活動は6月以降、木金土の週3日に限定して活動していく。それ以降は、ボランティアセンターは『地域ささえあいセンター』に少しずつ移行していく予定。ボランティアニーズは引き続き受け付けを継続する」

「仮設住宅について。先週、最後の募集として3次募集を開始したが、これまで194戸建設が完了しており、新規の建設予定109戸に対して、応募が20日現在で146件となっている。来週が締め切りだが、応募はさらに増えると思われ、着工する戸数を増やす必要があると考えている。前回の時もお伝えしたが、数が増えることに対し柔軟な対応をお願いしたいと思っている」

石川県の「災害対策本部員会議」の内容は県のホームページから誰でも確認できます。

資料を確認できるほか、会議の動画を見ることもできます。