スロバキア首相銃撃事件 内相「政治的な動機だと本人が言及」

ヨーロッパ中部のスロバキアで首相が銃撃された事件で、スロバキアの内相は「政治的な動機に基づくものだ」と述べ、首相がウクライナへの軍事支援を停止したことへの反発などが動機だという見方を明らかにしました。

スロバキアのフィツォ首相は15日、訪問先の中部のハンドロバで政府の会議に出席したあと、地元の住民に歩み寄った際に、至近距離から男に銃撃されました。

負傷したフィツォ首相はヘリコプターで病院に搬送され、男は現場で取り押さえられました。

事件を受けて16日、スロバキア政府の閣僚たちが記者会見を行い、カリニャーク国防相は、首相の容体について「医師たちは容体を安定させることができたが、命が危険な状態から抜け出していない」と述べました。

また、シュタイエシュトク内相は、銃撃した男の動機について「政治的な動機に基づく暗殺未遂であったことは本人が言っていることだ」と述べ、首相が、ロシアの侵攻を受けるウクライナへの軍事支援を停止したことへの反発などが原因だという見方を明らかにしました。

さらに、男の供述として、このほかにフィツォ首相が汚職事件を取り扱う特別検察局を廃止したことや、メディアへの統制を強化する計画を進めていることにも反対する考えを持っていたと明らかにし、今後、どこまで事件の全体像の解明が進むかが焦点となります。

スロバキア大統領「民主主義に対する攻撃」

首相が銃撃されたことを受け、スロバキアのチャプトバ大統領と、来月に次の大統領に就任する予定のペレグリニ氏が16日、共同で声明を発表しました。

この中で、チャプトバ大統領は「フィツォ首相に起きたことは、大きな悲劇であり、同時に民主主義に対する攻撃だ」と述べ、事件を強く非難しました。

そのうえで「われわれはまず冷静になり、状況を把握することが必要だ」と述べ、スロバキアの全ての政党のトップを大統領府に招き、事態の鎮静化を図るために会合を開くことを明らかにしました。

またペレグリニ氏は「スロバキアの全ての政党に対して、ヨーロッパ議会選挙における選挙戦を一時的に停止するか、大幅に縮小するよう求める。スロバキアの国民が今、必要としているのは団結だ」と述べ、状況が落ち着くまで選挙活動を控えるよう呼びかけるとともに、国民に結束を訴えました。

プーチン大統領「凶悪な犯罪で正当化する余地ない」

ロシア大統領府のペスコフ報道官は16日、ロシアメディアに対し「この攻撃を最も強いことばで非難する。まったく容認できない。彼の早い回復を祈っている」と述べました。

プーチン大統領も15日にフィツォ首相の回復を願うお見舞いのメッセージを送ったということで、この中で「凶悪な犯罪であり正当化する余地はない」と銃撃を強く非難しています。