岐阜 リニアトンネル工事現場周辺で井戸水位低下 JR東海が対策

岐阜県瑞浪市にあるリニア中央新幹線のトンネル工事の現場周辺で井戸の水位が低下するなどしていることがわかり、JR東海は工事の影響とみて対策を進めています。

JR東海によりますと、去年12月中旬とことし2月中旬に瑞浪市の日吉トンネルの掘削工事現場の2つの区間で地下水が湧き出ました。

その後、瑞浪市大湫町にあるJR東海が設置した観測用の井戸で水位の低下が確認され、今月上旬には最大でおよそ40メートル低下しました。

周辺でも
▽個人の井戸9か所と
▽およそ40戸に水を供給している共同水源3か所
それに
▽ため池の2か所で水位の低下を確認し
水が枯渇したところもあったということです。

JR東海はトンネル工事の影響とみて住民に説明するとともに応急的な対策として、水の量が減るなどした家庭に対して上水道の水を井戸に引き込む工事を行っています。

トンネル工事の現場では今も地下水が湧き出ていますが、工事は継続しているということです。

JR東海は「早急に上水道の工事を進めるとともに引き続きトンネル掘削との関係を調査して真摯(しんし)に対応します」とコメントしています。

住民 “水を元どおり使えるようにしてほしい”

井戸の水位が低下するなどした瑞浪市大湫町の住民からは、水を元どおり使えるようにしてほしいといった声が聞かれました。

このうち70代の男性の家では自宅にある井戸の水を料理や洗濯に使っていましたが、先月から水位が下がり水が出なくなったということです。

その後は、JR東海による対策工事で上水道の水が使えていますが、男性は「私が小学生の頃に父親が掘って作った井戸で、水が出なくなることはなかったので信じられない。冬は温かく、夏は冷たい地下水をまた使えるようにしてほしい」と話していました。

そして町内のため池では1か月ほど前から水が減り一時期、干上がったということです。

その後の雨で今はわずかに水がたまっていますが、ひび割れた底の様子が見えていました。

近くに住む30代の男性は「本来はオタマジャクシが泳ぐ時期だが水がなくなって干からびた死体にハエがたかっていた。例年だとウシガエルも鳴いていたが、ことしは聞こえてこない。火事になった時に消火の水を確保できるのか心配だ」と話していました。

また地域の住民でつくる団体、大湫コミュニティ推進協議会の加藤博一会長によりますと、町内の30戸以上に水を供給している共同水源も枯渇したため、別の水源から水をひいて対応しているということです。

加藤会長は「バックアップの水が枯れると多くの家が一斉に飲み水に困ることになる。リニアの工事をやらざるをえないことは理解していますが、JR東海が誠心誠意対応することを望んでいます」と話していました。