JR東日本 “カスハラ” 個別事案に応じた対応マニュアル作成へ

カスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」への対処方針を先月初めて策定したJR東日本は、今後、個別事案に応じた対応マニュアルを作成し、対策を強化することにしています。

JR東日本は乗務員や駅員などへのカスハラは、社員の尊厳を傷つけ職場環境の悪化を招くとして初めて対処方針を策定し、この中では、カスハラに該当する行為を、正当な理由のない金銭補償の要求や過剰なサービスの要求などとしていて、こうした行為が確認された場合、サービスの休止などの対応をとるとしています。

しかし、この対処方針だけでは列車の遅れなど会社側にも原因の一端がある場合のクレームなどについて、カスハラとみなすかどうか判断が難しいとしています。

このため、JR東日本は現場で実際にあったカスハラの事例を集めて個別事案に応じた対応マニュアルを作成し、対策を強化することにしています。

JR東日本サービス品質改革室の上林雅子マネージャーは「どこからがカスハラになるかという判断は現場では難しいケースもある。事例をもとに弁護士や専門家の意見を聞いて実務対応型のマニュアルを作成し、現場の人たちがカスハラに対応しやすいようにしたい」と話していました。

具体的なカスハラ事例

JR東日本によりますと、乗務員や駅員などに対するカスハラは、多い時で月に30件ほど報告されているということです。

具体的な事例として、
▽グリーン券を持っていないにもかかわらず、グリーン車に乗っていた客に普通車へ移動するよう伝えると、列車内の乗務員室までついてこられてドアを蹴られたケースや、
▽切符をなくした客に再度購入するよう促したところ、大声で「名刺を出せ」などと駅係員が罵声を浴びせられたうえ、肩を押されるケースがあったということです。