政治資金規正法改正 立民 泉代表 与党案批判“早期に協議を”

政治資金規正法の改正をめぐり立憲民主党の泉代表は、自民・公明両党が9日まとめた与党案の概要について「『裏金』が根絶される中身ではない」などと批判したうえで、早期に与野党の協議を始めるべきだという考えを示しました。

自民・公明両党は9日、党から議員に支給される「政策活動費」について議員からの使いみちの報告に基づいて党が収支報告書に金額を記載することなどを盛り込んだ与党案の概要をまとめました。

これについて公明党の山口代表は、党の参議院議員総会で「方向性を確認したことは妥当だが、すべて合意して法案を作れるところまでは至っていない」と指摘しました。

そのうえで「野党にはパーティー収入を得たり、党幹部に『政策活動費』を渡してきた経験があったりする政党が複数ある。野党の意見を聴きながら合意形成を図り、最終的には今の国会で法改正を成し遂げる決意で臨んでいきたい」と述べました。

その野党の立憲民主党の泉代表は記者会見で「『裏金』が根絶される中身ではなく、協議のたたき台としてふさわしくない。政策活動費は領収書を出す話になっておらず、透明性の低い新たな仕組みをつくろうとしている」と批判しました。

そのうえで「政策活動費そのものをなくすことがあるべき姿であり、与党案ではダメだという世論をつくっていかなければならない」と述べました。

また、今後の与野党の協議について「われわれは与党に『早く案を出せ』と言ってきたし協議でも何でもやると言っているので早く呼びかけてもらいたい。われわれは国民が求める政治改革案をぶつけて戦う」と述べました。

共産 山添政策委員長「政治改革の名に値しない」

共産党の山添政策委員長は記者会見で「企業・団体献金禁止というおおもとの問題に踏み込んでおらず、政治改革の名に値しない。政策活動費の使途の公開や政治家の責任の強化なども不十分で、多くの国民が納得のいくものには及ばない」と述べました。

その上で「与野党で協議する場を用意し、具体策を詰めていくことが必要だ。企業・団体献金の禁止は与党案からすっぽり抜けているので、議題にのせるため努力したい。国会での政治改革の議論の前提は真相解明であり、引き続き今国会の焦点になる」と述べました。

国民 榛葉幹事長 “与党案は肝心なものが先送りに”

国民民主党の榛葉幹事長は記者会見で「与党案の概要は、自民・公明両党で政策活動費の公表などで折り合わず、肝心なものが先送りになっている。日程感ありきで、何とか早く落としどころをつくろうというのが見える。とても政治資金の透明性が確保されるものではない」と述べました。

一方、立憲民主党との間で調整を進めることで一致した、政治資金規正法改正案の共同提出について「共通の思いがあるところはしっかり議論したい。ただ『調査研究広報滞在費』について野党第1党の立憲民主党には『隗(かい)より始めよ』で、わが党が行っているように自主的な公開をぜひ始めてほしい。それもできないというなら本当に一緒に法案を提出するか分からなくなる」と述べました。

岸田首相「条文化の作業に全力」

岸田総理大臣は、総理大臣官邸で記者団に対し「政治家の責任の強化など再発防止の観点から実効性のある案をまとめてもらったと認識している。今後は早期の法案提出に向けて、まずは自民党として条文化の作業に全力を挙げ、公明党に示していくことになり、この作業を急ぎたい。また野党の意見もうかがっていくことになると考えている」と述べました。