宇野昌磨 現役引退発表 今月14日会見へ 冬の五輪2大会でメダル

フィギュアスケートの男子シングルでオリンピック2大会でメダルを獲得し、世界選手権では2連覇を果たした宇野昌磨選手が自身のSNSで現役を引退することを発表しました。

宇野昌磨 自身のSNSで現役引退を発表

宇野選手は愛知県出身の26歳。5歳でスケートを始めると早くから難度の高いジャンプに挑戦し、ジュニア時代から国際大会で頭角を現しました。

オリンピックでは2018年のピョンチャン大会で銀メダル、続くおととしの北京大会で銅メダルを獲得しました。

また、世界選手権でも去年の大会まで2連覇を果たすなど世界の舞台で安定した成績を残してきました。

宇野選手は9日、自身のSNSで現役引退を発表し「きょうまで競技者としての僕を応援してくださった皆さま、支えてくださった皆さま、本当にありがとうございました。5歳の時にスケートに出会い21年間続けることができ、すばらしい競技生活を送れたことにとても感謝しております」とコメントしました。

宇野選手は今月14日に記者会見を開き、現在の心境や今後について語ることにしています。

競技始めたのは浅田真央さんに声をかけられたのがきっかけ

宇野昌磨選手は5歳のとき、地元のスケートリンクで、のちにバンクーバーオリンピックの女子シングルで銀メダルを獲得する浅田真央さんに声をかけられてスケートを始めました。

早くから難度の高いジャンプに挑戦し、2014年にジュニアのグランプリファイナルで4回転トーループを決めて優勝を果たすと、シニア転向1年目の2016年には世界で初めて大技の4回転フリップを成功させました。その後、4回転ループや4回転サルコーも成功させ、一気に世界のトップ選手に上り詰めました。

オリンピックでは20歳で初出場した2018年のピョンチャン大会で銀メダル、おととしの北京大会で銅メダルを獲得しました。また、世界選手権でも去年の大会まで2連覇を果たすなど、世界の舞台で安定した成績を残し、日本の男子フィギュアスケート界をけん引してきました。

一方でここ数年は、背中を追いかけ続けてきた羽生結弦さんが競技から退いたことや自身が世界選手権で連覇を果たしたことなどからモチベーションの維持に苦しみ、今シーズンは競技結果よりも「自分を満足させる演技をすること」に重点を置くなど、葛藤を抱えながら現役を続けていました。

鍵山優真「さみしいですが 進む道を応援」

宇野選手の現役引退表明を受けて、ともに北京オリンピックに出場するなど競い合ってきた鍵山優真選手は、所属するマネジメント会社を通じてNHKにコメントを出し「宇野選手は僕がジュニアのころからずっと憧れで尊敬できる人です。最初は宇野選手の表現力やスケーティングにひかれてすごいと思いました。僕が中京大に入ることが決まってからは一緒に練習する機会も増え、そのたびに宇野選手の練習量に圧倒され、たくさんの刺激を受けて僕ももっと頑張ろうと思えるようになりました」と大きな影響を受けてきたことをことばにしました。

そのうえで「現役を引退されてしまうのはとてもさみしいですが、これからの宇野選手の進む道を応援していきます。現役生活お疲れさまでした」とライバルの引退を惜しみつつ、ねぎらいの気持ちを示しました。

国内外のスケーターからねぎらいの声

宇野選手が現役引退を発表したことを受けて、国内外のスケーターからねぎらいの声が上がっています。

【三浦佳生選手】
今シーズンのグランプリシリーズで初優勝し、宇野選手とともに世界選手権に出場した18歳の三浦佳生選手は、マネジメント会社を通じてNHKにコメントを寄せ「小学生のころから雲の上の存在でずっと背中を追いかけてきました。シニアの試合に参加できるようになってからは間近でより多くの刺激をもらい僕も頑張ってこられました。これまで数々の偉業を成し遂げ後輩たちを引っ張っていってくださりありがとうございました。次は僕も後輩たちのお手本となり彼らを引っ張れる存在になれるように頑張ります」などと感謝を伝えました。

【織田信成選手】
2010年のバンクーバーオリンピックに出場した織田信成選手は自身のSNSで「世界選手権のショートプログラムの演技は本当に美しくて彼のスケートの完成形を見た気がしていました。いつ話しても謙遜ばかりするけれど、努力を惜しまない、妥協を許さない姿を背中で魅せ続けてくれた漢です。本当におつかれさま」とねぎらいました。

【海外のスケーターからも】
また、海外のスケーターからも反応が見られ、今シーズンの世界選手権で優勝したアメリカのイリア・マリニン選手が自身のSNSに宇野選手の写真を投稿したほか、北京オリンピックに出場した同じアメリカのビンセント・ジョウ選手は、宇野選手が現役引退を発表したSNSの投稿にコメントする形で「あなたは伝説です。すばらしいキャリアでした」と伝えました。

山田満知子コーチ「今後は新しい宇野昌磨を」

宇野選手が現役引退を発表したことについて、長年指導した山田満知子コーチ(80)は「残念だという気持ちもあるが、今後は新しい宇野昌磨を見せてほしい」と話しました。

山田コーチは、宇野選手の地元・名古屋市にあるスケートリンクで伊藤みどりさんと浅田真央さんの2人のオリンピックメダリストを指導し宇野選手も5歳から21歳まで指導しました。

9日午後、このスケートリンクで報道各社の取材に応じ、宇野選手が現役引退を発表したことについて「残念だという気持ちもあるが『いいんじゃない』とも思う。彼のことだから新しい何かを求めているのだと思う」と話しました。

そして、宇野選手の引退は9日に知ったということで「昨シーズンの大会を終えてスケートについて何かを考えていたことは知っていた。彼が漫画の主人公を演じたアイスショーを見た時に『すばらしい』と思ったし、これまでとは違うスケートの魅力にとりつかれていることを感じた。今後は昌磨らしいプロスケーターを目指してほしい」とエールを送りました。

また、宇野選手がオリンピックや世界選手権などの国際大会で活躍できたことについて「強さの要因はすごくスケートが好きでスケートを突き詰めたことだと思う。4回転をばんばん跳ぶ時代に戦っていける選手になるとはあまり思っていなかった。それでもスケートが好きなのですごく研究していた」と話しました。

その上で「初めて会った時から本当にかわいい子だった。一番印象に残っているのはリンクで親に叱られて泣いていたこと。それがいつの間にか立派になり今では爽やかで魅力的な男性だと思う」と教え子の成長を振り返っていました。