米高官「ことしいっぱい ウクライナは防衛に力入れることに」

アメリカ政府の高官はこれまで滞っていたウクライナへの軍事支援の再開が4月決まったことについて、形勢を直ちに変えるものではないとして、ことしいっぱいはロシア軍の攻勢に対しウクライナは防衛に力を入れることになるという見通しを示しました。

ロシア軍がウクライナ東部で攻勢を強める中、アメリカ政府は4月、600億ドルあまり、日本円で9兆3000億円を超えるウクライナヘの追加支援を決め、滞っていた武器や装備品などの軍事支援が再開することになりました。

経済紙、フィナンシャル・タイムズによりますとホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は4日、首都ワシントンで行われたイベントで軍事支援の効果について「当面はロシア軍の進軍が続く。スイッチを切り替えるようにはいかない」と指摘しました。

その上で「ウクライナが前線を防衛し、ロシア側の攻撃に耐えることを確かなものにする」として、ことしいっぱいはウクライナは防衛に力を入れることになるという見通しを示しました。

そして来年について「ロシアが奪った領土を取り戻すために前進するだろう」と述べ、ウクライナが反転攻勢に転じるとしています。

一方でアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は「アメリカ政府高官は来年の反転攻勢を支持する意向を示しているが、われわれはできるだけ早く主導権を握るべきだと評価している」としてことしロシアの進軍を許せばロシアが有利になると指摘しています。