【詳細】イスラエル・パレスチナ・中東情勢(5月6日)

避難者などおよそ120万人が身を寄せるガザ地区南部ラファでは6日、複数回にわたって攻撃があり、現地のジャーナリストはNHKの取材に対し、ラファ東部の地域で、イスラエル軍が少なくとも10回空爆を行ったなどと明らかにしました。

※中東情勢に関する日本時間5月6日の動きを随時更新してお伝えします。

ラファで複数回の攻撃 “イスラエル軍が少なくとも10回空爆”

避難者などおよそ120万人が身を寄せるガザ地区南部ラファでは6日、複数回にわたって攻撃があり、現地のジャーナリストはNHKの取材に対し、ラファ東部の地域で、イスラエル軍が少なくとも10回空爆を行ったなどと明らかにしました。

これまでのところ詳しい被害の状況は分かっていません。

イスラエル軍は6日、ラファ東部の一部でまもなく作戦を実施するとして、安全のため直ちに退避するよう、SNSなどを通じて通告していました。

イスラエル軍 ラファ東部の一部からの退避を通告

イスラエル軍は6日、ガザ地区南部のラファの住民などに対して、ラファ東部の一部でまもなく作戦を実施するとして、安全のため直ちに退避するようSNSなどを通じて通告しました。一方で、軍事作戦の規模や期間については明らかにしていません。

およそ120万人が身を寄せるラファをめぐっては、イスラエル側が大規模な作戦に乗り出す構えを見せてきたのに対し、アメリカなどが繰り返し反対してきましたが、イスラエルのガラント国防相はアメリカのオースティン国防長官との電話会談の中で、改めて作戦を実行する必要性を訴えたということです。

一方、イスラエルとハマスとの戦闘の休止と人質の解放に向けた交渉は、4日と5日にエジプトで行われたものの進展は見られず、エジプトのメディアは、ハマスが交渉内容を改めて検討する見通しだと伝えています。

しかし、あくまでもハマスの壊滅を目指すとするイスラエルと、完全な停戦を求めるハマスが歩み寄るのは、容易ではないものとみられます。

ガザ地区では、5日から6日にかけてもイスラエル軍の攻撃で子ども8人を含む22人が死亡したと伝えられていて、交渉が難航する中、イスラエルがラファへの大規模な作戦に踏み切れば、さらに多くの市民の犠牲が出ることが懸念されます。

戦闘休止の交渉難航 CIA長官がカタールへ

エジプトで行われていたイスラエルとハマスとの戦闘の休止と人質の解放に向けた交渉は、ハマスが完全な停戦を求めて譲らず、5日も合意に至らないままハマスの代表団がエジプトを離れました。

こうした中、ロイター通信は5日、アメリカのバーンズCIA長官がカタールの首都ドーハに向かい、カタールの首相と緊急に会談すると伝えました。

カタールはエジプトとともに交渉の仲介にあたり、ハマスの政治部門の最高幹部も活動の拠点としていることから、バーンズ長官は現地を訪れることで、イスラエルとハマスの双方に歩み寄るよう圧力をかけるねらいがあると見られます。

ガザ南部 攻撃続き乳児含む19人死亡

ガザ地区南部のラファでは、5日もイスラエル軍による攻撃が続き、ロイター通信は乳児も含む少なくとも19人が死亡したとしています。

NHKガザ事務所のカメラマンが撮影した映像には、攻撃で死亡した人やけがをした人が次々に地元の病院に搬送される様子が写っています。

戦闘の休止に向けた交渉が難航する中、ガザ地区では連日の攻撃で市民の犠牲が増え続けています。

ハマスがエジプト離れ 交渉は依然不透明

仲介国のエジプトで行われてきたイスラエルとハマスの間での戦闘の休止と人質の解放に向けた交渉についてハマスは5日「今回の交渉は終了した。代表団は仲介役にこれまでの提案に対しての回答を渡し、今夜カイロを離れる」と発表しました。

これに先立ちハマスのハニーヤ最高幹部は声明で「イスラエルの侵略を終わらせ、軍が撤退することを保証し、人質交換を実現する包括的な合意に達することを求めている」などと述べ、合意には完全な停戦が必要だという立場を繰り返しました。

一方、イスラエルのネタニヤフ首相は5日「イスラエルは人質解放のため、戦闘を休止する用意がある。しかし、ハマスは極端な立場に固執したままで、それを受け入れることはできない」などと述べ、あくまでハマスの壊滅を目指す従来の主張を繰り返し、事態打開の糸口を見いだせるかどうかは依然、不透明な情勢です。

ハマス 検問所付近のイスラエル兵にロケット弾で攻撃

ハマスは5日、ガザ地区との境界にあるケレム・シャローム検問所付近にいたイスラエル兵に対し、ロケット弾で攻撃したと発表しました。

イスラエルメディアは少なくとも10人がけがをしたと伝え、イスラエル軍は攻撃の起点となった場所を空爆したなどと発表していて、緊迫した状況が続いています。

イスラエル首相 中東TV局アルジャジーラの現地事務所閉鎖発表

イスラエルでは先月政府が国家の安全を脅かしているとみなした外国メディアに対して、事務所の一時閉鎖や放送の停止などの規制が可能となる法案を賛成多数で可決しました。

こうした中、イスラエルのネタニヤフ首相は5日「政府は全会一致で、扇動チャンネルであるアルジャジーラをイスラエルで閉鎖することを決定した」とSNSで明らかにしました。

これに対してアルジャジーラは「イスラエルはみずから行っている犯罪を覆い隠すために、記者の殺害や拘束で自由な報道を弾圧しているが、これによってわれわれの使命達成を妨げることはできない」などと声明を発表し、イスラエルの決定を非難しました。

アルジャジーラによりますと、新たな法律では、国内にある事務所の一時閉鎖や放送の停止に加え、ウェブサイトの閲覧も規制できるほか、撮影機材の没収なども可能になると伝えています。

NHKのエルサレム支局では現地時間の午後、アルジャジーラの放送が見られなくなり、暗くなった画面にはヘブライ語で「政府の決定で、イスラエルでのアルジャジーラの放送は停止された」という字幕が表示されました。