珠洲 去年5月5日 震度6強から1年 しちりん製造会社 再建へ歩み

去年5月5日に石川県珠洲市で震度6強の揺れを観測した地震から1年。珠洲市特産の「しちりん」の製造会社は、去年に続き、ことしの能登半島地震でも窯が崩れるなどの被害を受け、現在、再建への歩みを進めています。

珠洲市蛸島町で特産のしちりんを製造する「鍵主工業」は、おととし6月の地震に続き、去年5月5日に起きた震度6強の地震で、しちりんを焼く窯が崩れるなどの被害を受けました。

去年は地震から2か月で製造量を回復させましたが、ことし元日の地震では全長およそ50メートルの窯全体が崩れ、35人いた従業員の多くが避難を余儀なくされるなど、製造の再開が見通せない状況に追い込まれました。

それでも従業員は避難生活を続けながら徐々に職場に戻り、在庫の出荷が可能になったことで、売り上げは以前の4割程度まで回復しました。

会社はいま、地震の被害を免れた小型の窯を使って製造ラインの復旧に取り組んでいます。

全長およそ2メートルで、新商品を開発するため試験的に作られた窯ですが、この窯が使えるようになれば、すべての製造工程が再開できるということです。

会社によりますと、製造量が元に戻るまで1年以上かかるということですが、6月には窯を稼働させ、一日も早い再建につなげたいとしています。

鍵主哲社長は「また大きな地震が来るかもしれないと言われていたので対策はしていましたが、予想を大きく上回る地震でした。窯は全部壊れてしまいましたが、地道にやるべきことを見つけ、一歩一歩前に進めていきたい」と話していました。