拉致被害者家族 アメリカから帰国“政府 議会の理解得られた”

北朝鮮に拉致された被害者の家族が訪問先のアメリカから帰国し、拉致問題の解決に向け政府や議会の関係者の理解が得られたとしたうえで、日本政府に対しすべての被害者の一括帰国という要求を下げることなく取り組んでほしいと求めました。

アメリカのワシントンを訪れていたのは、中学1年生の時に拉致された横田めぐみさんの弟で、拉致被害者の家族会代表の横田拓也さん(55)と、1歳の時に母親の田口八重子さんを拉致された飯塚耕一郎さん(47)です。

先月29日からの訪問期間中、NSC=国家安全保障会議のラップフーパー上級部長や、ゼヤ国務次官などの政府高官をはじめ、議会の上下両院の議員らと面会しました。

拉致被害者の家族会はことし2月に「親の世代の家族が存命のうちに全拉致被害者の一括帰国が実現するなら、わが国が北朝鮮にかけている独自制裁を解除することに反対しない」とする新しい活動方針をまとめ、日本政府の取り組みとキム・ジョンウン(金正恩)総書記の決断を強く促していて、こうした方針を説明し、理解と支持が得られたということです。

横田拓也さんは羽田空港で取材に応じ「面会した多くの方が家族会の苦しみを理解し、アメリカは皆さんと一緒にいるという温かい投げかけをしてくれました。拉致問題が時間的制約のある人権問題だということも深く伝わりました」と訪問を振り返ったうえで「全拉致被害者の一括帰国という要求の水準を絶対に下げないでほしい」と日本政府に改めて求めました。

そして北朝鮮のキム・ジョンウン総書記に対し「勇気ある英断で人権問題、拉致問題を解決してほしい」と呼びかけました。