最高裁長官 “刑事裁判での公判前整理手続きの長期化が課題”

最高裁判所の戸倉三郎長官は刑事裁判の課題について、初公判の前の手続きが長期化していることを挙げ、「証人の記憶の減退を招く」として検察や弁護士などとも問題意識の共有を図る考えを示しました。

最高裁判所の戸倉三郎長官は憲法記念日に合わせて会見を開き、「憲法が実現する法の支配の重要性を自覚し、司法の役割を果たしたい」と語りました。

導入から今月で15年となる裁判員裁判について「おおむね順調に運用されている」と評価したうえで、導入後の刑事裁判の課題として裁判が始まる前に証拠などを絞り込む「公判前整理手続き」の長期化を挙げました。

公判前整理手続きは刑事裁判の期間短縮のために始まりましたが、去年行われた手続きの期間は平均で11か月あまりとなり、裁判が始まるまで時間がかかる状況が続いています。

戸倉長官は「証人などの事件関係者の記憶の減退を招きかねない。裁判官が争点整理の目標について議論を深めるとともに、検察や弁護士と共通の認識をつくりたい」と話し、法曹三者で問題意識を共有して解決を図っていく考えを示しました。

また、結婚したときに夫婦で別の名字を選べる「選択的夫婦別姓」を求める裁判に関心が集まっていることを問われると、「広がりが大きい制度なので、司法と立法の関係性も意識しながら、その時々の状況の中で的確な判断をしていく」と述べました。