新紙幣の発行まで2か月 精算機など対応へ準備進む

20年ぶりとなる新たな紙幣の発行まで3日で、あと2か月です。企業の間では新紙幣に対応するため精算機などのシステムを更新する作業が進められています。

新紙幣の発行は、ことし7月3日に始まります。

▽一万円札は「近代日本経済の父」と呼ばれる渋沢栄一
▽五千円札は、日本で最初の女子留学生としてアメリカで学んだ津田梅子
▽千円札は、破傷風の治療法を開発した細菌学者の北里柴三郎の
肖像がデザインされます。

紙幣のデザインの変更は2004年以来、20年ぶりで、
▽偽造防止の強化と
▽誰でも利用しやすい「ユニバーサルデザイン」の導入が目的です。

新紙幣の発行まで3日で、あと2か月となる中、企業や個人事業者の間では新紙幣に対応するため、精算機や券売機の買い替えやシステムの更新作業が進められています。

財務省によりますと、発行開始までに
▽金融機関のATMは9割以上
▽鉄道会社の券売機、大手コンビニやスーパーのレジは
8割から9割で更新などが完了する見通しだということです。

財務省が、決済システムのメーカーなどでつくる「日本自動販売システム機械工業会」に聞き取りを行った結果、新紙幣に対応するための設備投資による経済効果は、およそ5000億円に上ると試算されています。

コインパーキングでは

東京 大田区で駐車場を有料で貸し出す「コインパーキング」をおよそ70か所運営する会社は、新紙幣に対応するため、自動精算機の更新作業を進めています。

会社によりますと、自動精算機の紙幣を識別する装置を交換するなどの更新費用は、すべてのコインパーキングで合わせておよそ200万円に上るということです。

一方で、この会社は、ことし1月にキャッシュレス決済だけに対応するコインパーキングを新たに開設しました。

利用者はスマートフォンで、QRコードを読み取り専用のサイトからクレジットカードや電子マネーで決済を行うため、自動精算機を設置する必要がなくなるなど、これまでより開設の費用をおよそ100万円減らすことができたといいます。

この会社では利用者の反応をみながら、ほかのコインパーキングでもキャッシュレス決済だけの対応に切り替えることも検討したいとしています。

コインパーキングを運営する「ミノラス不動産」の石川英嗣社長は「キャッシュレス決済だと、初期投資の費用があまりかからないというのがメリットです。キャッシュレス決済だけに対応するコインパーキングは今後、増えていくと感じています」と話しています。

この運営会社にキャッシュレス決済のシステムを提供する会社によりますと、新紙幣の発行を前に、新たに開設するコインパーキングをキャッシュレス決済だけの対応にするケースは、ほかにも出ているということです。