OECD 閣僚理事会 中国など念頭に「経済的威圧」対応など議論へ

OECD=経済協力開発機構の閣僚理事会が、フランスのパリで始まりました。中国などを念頭に輸出入の規制などで相手国に圧力をかける「経済的威圧」への対応や、急速に普及が進む生成AIの規制のあり方などについて、議論が交わされる見通しです。

日本や欧米など38か国が加盟するOECDの閣僚理事会は、2日からパリで始まりました。

ことしは、加盟から60年となる日本が議長国を務め、岸田総理大臣のほか、上川外務大臣や齋藤経済産業大臣らが出席しています。

会合では、自由で公正な貿易を維持していくため、中国などを念頭に、輸出入の規制などで相手国に圧力をかける「経済的威圧」にどう対応していくかや、脱炭素社会の実現に向けた各国の協力のあり方などについて、議論が交わされる見通しです。

また、急速に普及が進む生成AIの活用と規制のあり方や懸念が高まっている偽情報の拡散を防ぐ対策も主な議題となっていて、各国で連携していくことの重要性を確認するものとみられます。

会合は、3日まで開かれ、議長国の日本としては議論の成果を閣僚声明として取りまとめたいとしています。

岸田首相が演説「自由で公正な経済秩序が重要」

閣僚理事会の開会式には、岸田総理大臣が議長国として出席し演説しました。

この中で岸田総理大臣は、多くの紛争や新興国の台頭で国際社会の多様化が進み、一致した意見を持つことが困難になっていると指摘する一方「時代の変化や困難は、より豊かな暮らしを実現するためのチャンスでもある」と述べました。

その上で「日本はOECDの専門性と知見を活かし、課題の解決を新たな成長のエンジンに変えるべく取り組んでいる。力強い賃上げや、史上最高水準の設備投資を一層加速させ、日本の稼ぐ力を復活させる必要がある」と述べ今後もOECD各国と連携していく意向を示しました。

またWTO=世界貿易機関を中核とした、ルールに基づく自由で公正な経済秩序の維持・拡大が重要だとして、強じんな経済や経済安全保障の強化に向け同志国などとの連携を進めていく考えを強調しました。

さらにOECDが最も強みを発揮できるのがデジタル分野だとして安全・安心で信頼できるAIの実現に向け、協力を呼びかけました。

岸田総理大臣は、国際社会の不透明さが増す中、非加盟国への関与も必要だとした上で「各地域との連携強化はOECDが進むべき未来だ。日本は数少ないアジアの加盟国としてこれからも地域の架け橋となりOECDが将来にわたって世界経済を主導するために貢献していく」と述べました。