支援施設の男児死亡事故で川崎市が報告書

2016年、川崎市の障害のある子どもの支援施設で男の子が死亡した事故について、市は、施設側の当時の対応を身体的虐待にあたると指摘するとともに、事故の検証を施設まかせにした市の姿勢についても猛省する必要があるとする報告書をまとめました。

8年前、川崎市の障害のある子どもの支援施設、「川崎市中央療育センター」で、短期入所していた当時9歳の清水正和くんが施設の職員と就寝中に心肺停止の状態になり、その後、死亡しました。

市は、4年前に医師や弁護士などでつくる有識者会議を設置して検証を進めてきました。

このほどまとめられた報告書によりますと、職員の対応について、児童の手足を押さえつけていたことは身体拘束かつ身体的虐待にあたり、その認識がなかったことは大きな問題であることや、死亡事故という重大事故に鑑みて、市は施設任せにせず早期に検証すべきで猛省する必要があることを指摘しています。

そのうえで、再発防止に向けて、施設側には身体拘束を行わないことや障害の特性に応じた支援を行うこと、市には指導者の認識を持って速やかに重大事故の状況や原因をより詳細に確認すること、虐待防止の指導のため知識やノウハウを蓄積することなどを求めています。

川崎市障害保健福祉部は「児童と家族に対してあらためて哀悼の意を表すべきだと考えている。全力で再発防止に取り組む」としています。

一方、男の子の母親は「事故の具体的な経緯がはっきりと記載されておらず、わからないままになっている。改善点も具体的でなく、あまり誠意を感じられない」と訴えています。