【30日詳細】戦闘休止交渉 米英の受け入れ要請にハマス反発も

イスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘の休止や人質の解放をめぐる交渉について、イギリスやアメリカは「イスラエルは寛大な提案を行っている」としてハマス側に受け入れを迫っています。
これに対して、ハマス側は反発も見せていて、交渉がまとまるかは予断を許さない状況です。

※中東情勢に関する日本時間4月30日の動きを随時更新してお伝えします。

米英 “イスラエルの提案は寛大” ハマス “寛大ではない”

イスラエルとハマスの戦闘が続く中、エジプトなどの仲介で戦闘の休止や人質の解放をめぐる交渉が行われています。

この交渉について、イギリスのキャメロン外相は、29日、サウジアラビアで開かれている世界経済フォーラムの会合で、「いま検討されているのは40日間、戦闘を休止し、ハマス側が拘束している人質の解放と引き換えに、イスラエル側に収容されている数千人のパレスチナ人を釈放するというもので、ハマスに対して非常に寛大な提案だ」と述べ、ハマス側に受け入れるよう迫りました。

また、アメリカのブリンケン国務長官も「イスラエルは極めて寛大な提案をしている」と述べました。

イスラエル側は、人質が解放されれば戦闘の終結について協議する用意があると、ハマスに初めて提案したとも報じられています。

これに対してハマスの幹部は、中東の衛星テレビ局アルジャジーラの取材に対し、「イスラエルのパレスチナ人への攻撃は犯罪であり、犯罪行為をやめたからといって寛大ということにはならない」と反発しています。

その上で、「イスラエル側が完全な停戦を望んでいないのは明らかだ」と述べていて、交渉がまとまるかは予断を許さない状況です。

イスラエルのガザ攻撃に抗議デモ 米で大学生ら逮捕

ニューヨークにあるコロンビア大学では、29日、大学側が、敷地内にテントを張って抗議を続ける学生たちに対し、現地時間の午後2時、日本時間の30日午前3時までに退去しなければ停学処分にすると通告しました。

これを受けて、さらに多くの学生が集まり、「私たちは立ち止まらない」などと、声をあげて行進しました。

学生の代表のひとりは、大学側がイスラエルに関係する企業から支援を受けないとする要求を拒んでいるなどとして、「ほかの大学の学生たちと連帯していく」と述べ、抗議を続ける考えを強調しています。

アメリカでは、4月18日、コロンビア大学などで退去に応じない学生たちが警察に逮捕されたあと全米各地の大学で抗議活動が広がり、有力紙のニューヨーク・タイムズのまとめによりますとこれまでに、16の州のおよそ20の大学で800人以上の参加者が逮捕されたということです。

29日には、南部のテキサス大学オースティン校で学生側と警察が小競り合いになって逮捕される人も出ています。

各地の大学は、学生以外の人もデモに加わり、ユダヤ系の学生に対する差別や偏見も報告されているとしています。

アメリカのメディアは今後、大学側が強い対応に出れば、一気に緊張が高まるおそれがあるという見方を伝えています。

バイデン大統領 人質解放へ エジプトとカタールに協力要請

イスラエルとイスラム組織ハマスの間で人質の解放や戦闘の休止に向けた交渉が行われる中、アメリカ・ホワイトハウスは29日、バイデン大統領がエジプトのシシ大統領、そして、カタールのタミム首長と相次いで電話で会談したと発表しました。

会談ではイスラエルとハマスの間の交渉についてそれぞれ意見が交わされ、バイデン大統領は交渉の仲介役を務めるエジプト、カタールの両国とともに交渉で提案されている内容が完全に履行されるよう取り組んでいくことを確認したということです。

そのうえで、バイデン大統領は「今、即時停戦とガザの民間人の救済に向けた唯一の障壁となっているのが、人質の解放の問題だ」として両首脳に、人質の解放の実現に向けて、あらゆる手段を尽くすよう要請したとしています。

バイデン大統領は現在、ブリンケン国務長官を中東に派遣し、交渉の進展を目指して、関係国との協議を活発化させています。

イスラエル ”人質解放されれば 戦闘終結について協議も”

イスラエル軍はガザ地区への攻撃を続けていて、29日も南部ラファの住宅への空爆で、ロイター通信は少なくとも25人が死亡したと伝えています。

ガザ地区の保健当局によりますとこれまでの死者は、3万4488人に上ったということです。イスラエルとハマスの間では、エジプトなどの仲介で戦闘の休止や人質の解放に向けた交渉が行われていて、イスラエルのメディアはハマスの代表団が29日にエジプトを訪れ、協議に臨むと伝えています。

またアメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズは29日、イスラエル当局者の話として、ハマス側が参加すればイスラエルは30日にも代表団をエジプトに派遣すると伝えています。

交渉で、イスラエル側は、人質が解放されれば戦闘の終結について協議する用意があるとの姿勢を示していると伝えられています。

中東を訪問しているアメリカのブリンケン国務長官は29日、「イスラエルは極めて寛大な提案をしている」と述べ、ハマス側に提案を受け入れるよう求めていて、交渉が進展するかが焦点となっています。

“イスラエル治安部隊が重大な人権侵害”米国務省

アメリカ国務省のパテル副報道官は29日の記者会見で、ガザ地区でイスラエルとイスラム組織ハマスの衝突が起きた去年10月以前に、イスラエルの5つの治安部隊が、重大な人権侵害を引き起こしていたことを確認したと明らかにしました。

人権侵害の具体的な内容は明らかにしていませんが、アメリカのメディアは、ヨルダン川西岸地区でパレスチナ人に対する虐待などが行われていたと伝えています。

パテル副報道官はこのうち4つの部隊についてはすでに効果的な措置がとられ、是正されているとしています。

アメリカの法律では、外国の治安部隊などが重大な人権侵害に関与したという信頼できる情報があった場合、その部隊などへの軍事支援を禁じていて、会見に先立ち、アメリカのメディアは、イスラエルへの支援停止の可能性について報じ、ネタニヤフ首相が反発していました。

ただ、国務長官が、外国政府が効果的な措置をとっていると判断した場合は支援は認められることになっていて、ハマスとの戦闘が続く中、バイデン政権がどのような対応をとるのか注目が集まっています。