引き取り手ない遺体の扱い 厚労省が初めて実態調査へ

身寄りのない人が亡くなったあと、遺体の引き取り手がなければ、火葬などは自治体が行うことになっていますが、その手順に統一した基準がなく、トラブルになるケースもあり、厚生労働省が初めての実態調査に乗り出すことがわかりました。

病院や自宅などで亡くなった人に身寄りがなく、遺体の引き取り手がいない場合、火葬などは自治体が行うことが法律で定められていますが、親族がいないかどうか戸籍を調べる範囲や、火葬までの期限などの手順については国の統一した基準はありません。

高齢化が進み、1人暮らしの世帯も増えるなかで、運用は自治体ごとに異なっており、遺体を長期間火葬せずに葬儀会社に預けたままにするなどトラブルになるケースも起きていて、専門家などからは国に指針などを設けるよう求める声が上がっています。

こうした中、厚生労働省は引き取り手のない遺体や遺骨の自治体の取り扱いについて、初めて実態調査に乗り出すことがわかりました。

具体的には、それぞれの自治体のほか、葬送の専門家などにヒアリング調査を行い、課題を整理したうえで、対応の参考になる事例集などをまとめるということです。

厚生労働省は調査にあたる事業者を来月にかけて募集する予定で、結果は今年度中に取りまとめて公表する方針です。

専門家「家族頼みの葬送限界がある」

墓地埋葬法や葬送の課題などに詳しい茨城キリスト教大学の森謙二名誉教授は「人々の生き方が多様化し単身の高齢者が増える現代では、従来の家族を前提にしていた葬送のシステムが成り立たなくなってきているのが実情で、個別の市町村だけで対応するのは限界がある」と指摘します。

そのうえで「国の調査では、指針の策定や法律などの制度改革を見据え、課題の所在や何を改善すべきかなどを把握していく必要があるほか、私たち自身も亡くなったあとどうしてほしいかということを考えていく必要がある」と話していました。