【28日詳細】イスラエル側「合意実現ならラファ地上作戦停止」

イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続くパレスチナのガザ地区では屋外で避難生活を送る人も多く厳しい暑さで子どもが死亡するケースも出ています。

イスラエルとイスラム組織ハマスの間で戦闘の休止や人質の解放に向けた交渉が続く中、イスラエルの外相は「合意が実現すれば、ガザ地区南部ラファへの地上作戦を停止するだろう」と発言しました。一方でハマスは、新たに人質の様子を写した動画を公開するなど、双方の駆け引きが続いています。

※中東情勢に関する日本時間4月28日の動きを随時更新してお伝えします。

ガザ地区への空爆続く 暑さで亡くなる子どもも

イスラエル軍は、27日もガザ地区への空爆を続けていて、ガザ地区の保健当局は、この24時間で32人が死亡し、これまでの死者は3万4388人にのぼると発表しています。

連日、空爆にさらされている南部のラファで27日に撮影された映像では、破壊された建物のそばでうなだれる人や、がれきの中から食べ物などを取り出す人の姿が写っています。

AP通信などによりますと、ガザ地区ではこのところ強い日ざしが照りつける日が続いていて、今月25日に32度を記録するなど、この時期の平均気温を大幅に上回る暑さとなっています。

家を破壊されたり、住む場所を追われたりして多くの人が屋外での暮らしを余儀なくされていて、支援にあたる国連機関の代表は26日、SNSで少なくとも子ども2人が暑さの影響で死亡したと明らかにしています。

エジプトなどが仲介して、戦闘の休止や人質の解放に向けた交渉が行われていますが、アメリカのニュースサイトアクシオスは、イスラエル側は、この交渉で、成果がなければ多くの住民が避難するガザ地区南部のラファへの地上作戦を実行に移す構えだと伝えていて、緊迫した状況が続いています。

ガザ地区 学校のおよそ半数 直接攻撃で被害 国連など公表

UNICEF=国連児童基金と国際的なNGO「セーブ・ザ・チルドレン」は衛星画像などをもとに去年10月以降のガザ地区での学校の被害状況を分析し、4月25日、報告書を公表しました。

それによりますとガザ地区にある813の学校のうちおよそ半数にあたる(48%)389校で建物に直接、攻撃があり被害を受けたとしています。このうち少なくとも59校は建物が完全に破壊され、再び学校として機能するためには大規模な再建が必要だなどとしています。

また、このほかに建物は直接、攻撃を受けていないものの運動場などが攻撃を受け、施設に深刻な被害があった学校は200校に上るとしています。

報告書には学校の敷地に戦車が置かれている様子をとらえた衛星写真なども添付され、複数の学校がイスラエルの治安部隊によって軍事的に利用されていた証拠があると指摘しています。そして戦闘休止をいち早く実現するとともに、国際人道法にもとづき学校が教育のために、安全に使用できるようあらゆる措置を取る必要があると訴えています。

UNRWA事務局長 改めて停戦を呼びかけ

UNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関は、ガザ地区ではおよそ170万人が住まいを追われたとしていて、屋外での暮らしを余儀なくされている人も多くいます。

UNRWAのラザリーニ事務局長は、26日、SNSへの投稿で「少なくとも2人の子どもが暑さの影響で死亡したという報告を受けた」と明らかにしました。

ラザリーニ事務局長はガザの人々は「死、飢餓、病気、住まいを追われることに加えて、今度はしゃく熱の中、温室のようなところで暮らさざるをえない」などとした上で、「この悲惨な状況で、大規模な軍事作戦を進めることは許されない」と改めて停戦を呼びかけました。

ガザ地区の保健当局はこれまでに3万4000人以上が死亡したとしていますが、現地では清潔な水が手に入りにくいほか、ごみの処理もできておらず、気温が上がる中、暑さによる影響や感染症の広がりなどさらなる人道状況の悪化が懸念されています。

イスラエル外相「合意実現すればラファへの地上作戦を停止」

イスラエルとハマスの間では、戦闘の休止や人質の解放に向けた交渉がエジプトなどの仲介で続いていてハマスは27日の声明で、イスラエル側からの提案を受け取ったと明らかにし、内容を検討するとしています。

イスラエル側の提案についてアメリカのニュースサイト、アクシオスは、イスラエルは、人質が解放されれば、戦闘の終結について協議する用意があると、ハマス側に初めて提案したと伝えています。

こうした中、イスラエルでは、およそ120万人が身を寄せるガザ地区南部ラファへの地上作戦に向けた準備が進んでいるという報道が相次いでいます。

これについて、イスラエルのカッツ外相は、27日地元テレビのインタビューで「人質の解放は最優先事項だ。合意が実現すれば作戦を停止するだろう」と述べました。

一方でハマスも27日、人質としている男性2人が、「イスラエル政府は、交渉に柔軟に応じるべきだ」などと求める様子を写した新たな動画を公開するなど、イスラエルとハマスの間の駆け引きが続いています。

ガザ地区では、このところ厳しい暑さが続き子どもが死亡するケースも出ていて、多くの人が扇風機すらないテント生活を送るなか、今後、夏にかけて避難者の健康状態がさらに悪化することが懸念されています。