円相場 一時1ドル156円台まで値下がり 円安一段と加速

東京外国為替市場では、日銀の金融政策決定会合の結果の公表を受けて、円安が一段と加速し、円相場は一時、1ドル=156円台まで値下がりしました。1ドル=156円台となるのは1990年5月以来、およそ34年ぶりです。

東京外国為替市場では、午前中、1ドル=155円台半ばで取り引きされていましたが、午後0時半ごろに日銀が金融政策決定会合で、今の金融政策の維持を決めたことが伝わると、追加の利上げには時間がかかるとの見方から日米の金利差が意識され円を売ってドルを買う動きが強まりました。

このため、円相場は一時、1990年5月以来、およそ34年ぶりとなる1ドル=156円台まで値下がりしました。

市場関係者は「日銀の決定は市場の予想通りで、日米の金利差が意識されて円安が加速した。市場では、植田総裁が、このあと行われる記者会見で追加の利上げや国債の買い入れへの対応など、今後の政策の方向性についてどのようなスタンスを示すかに注目が集まっている」と話しています。

鈴木財務相「しっかり対応する」

鈴木財務大臣は、26日午後1時前に記者団から、1ドル=156円台まで円安が進み、政府の対応を問われたのに対し、「しっかり対応してまいりたい」と述べました。

経済同友会 新浪代表幹事 “賃金と物価の好循環 妨げるおそれ”

外国為替市場で円安が加速し、およそ34年ぶりの円安ドル高水準となっていることについて、経済同友会の新浪代表幹事は、賃金と物価の好循環の実現を妨げるおそれもあるとして、懸念を示しました。

この中で、新浪代表幹事は、26日の記者会見で「賃上げによってよい物価高に移行しつつあったが、この円安がそれを邪魔する可能性がある。せっかく企業が努力していることが思ったほど効果がなくなる可能性もあり、大変、危惧すべき状況だ」と述べました。

そのうえで、「ある程度の介入は一時的には効果があるにしても、本当の『円』の力が出てこないといけない。日本が世界から投資の場として必要だということで円が買われるためにも、国内投資がしやすい環境を至急、整備すべきだ」と述べ、国内投資の需要を通じ円を買う動きを拡大することが必要だという考えを示しました。