佐賀 玄海町議会「核のごみ」処分地 文献調査の請願を正式採択

原子力発電で出るいわゆる「核のごみ」の処分地選定をめぐって、佐賀県の玄海町議会は第1段階にあたる「文献調査」の受け入れを求める請願を26日に開いた本会議で正式に採択しました。これを受けて玄海町の脇山町長は来月中に調査を受け入れるかどうか態度を明らかにする考えを示しました。

原子力発電に伴って出る高レベル放射性廃棄物いわゆる「核のごみ」は長期間強い放射線を出し続けることから、地下300メートルより深くに埋めて最終処分を行うことが法律で決まっています。

処分地の選定に向けた調査は3段階で行われ、第1段階の「文献調査」では最大20億円の交付金が支払われます。

佐賀県の玄海町議会には町内の旅館組合と飲食業組合、それに防災対策協議会の3団体から「文献調査」への応募を町に働きかけるよう求める請願が提出され、町議会は25日、全議員が参加する特別委員会で賛成多数で可決しました。

26日は午前10時から本会議が開かれ、この中で調査の受け入れに反対する議員は「審議が尽くされたとは到底思えない。住民に広く知ってもらった上で採決に臨むべきだ」と述べました。

一方、賛成の議員は「現に自分たちの自治体には高レベル放射性廃棄物があり、日本全体でどうにかしなければならない問題だ」と述べました。

このあと採決が行われ賛成6人、反対3人の賛成多数で請願は正式に採択されました。

玄海町には九州電力の玄海原発が立地していますが、原発が立地する自治体の議会で「文献調査」の受け入れを求める請願が採択されるのは初めてです。

調査を受け入れるかどうかは町長が最終的に判断をすることになっていて、玄海町の脇山町長は本会議のあと「熟慮する時間が必要だが、あまり引き延ばしてはいけない」と述べ、大型連休が明けて以降の来月中に態度を明らかにする考えを示しました。

林官房長官「関心持っていただきありがたい」

林官房長官は、閣議のあとの記者会見で「文献調査に関心を持っていただきありがたい。今後、玄海町議会の本会議で請願審査が行われると承知しており、議論の状況を注視した上で適切に対応していきたい」と述べました。

一方、佐賀県の山口知事が「新たな負担を受け入れる考えはない」と発言していることについては「まさに現在、請願審査が行われているところであり、政府としてコメントすることは差し控える。まずは地域で丁寧に議論を深めてもらうことが重要だ」と述べました。

山口知事「”新たな負担受け入れず” 考え変えるつもりない」

佐賀県の山口知事は「新たな負担を受け入れる考えはないというのは、変えるつもりはない」と述べ、改めて、最終処分場を受け入れることはないという考えを示しました。

26日の定例会見で佐賀県の山口知事は、玄海町議会で「核のごみ」の処分地選定に向けた「文献調査」の受け入れを求める請願が採択されたことについて、「町として、どうあるべきかが問われている。問題を提起し、議会で議論して、これから町長や住民を巻き込む大切なプロセスを踏んでいる。議論を見守っていきたい」としたうえで、「議論に一石を投じたことにはなるのかなと思う。こういったことを機会にして、国民全体でさまざまな課題を考えてほしい」と述べました。

一方で、町が「文献調査」を受け入れた場合、次の段階の「概要調査」に進むには、知事の同意が必要になることを踏まえ、「新たな負担を受け入れる考えはないというのは、私の考え方として変えるつもりはないと一貫して申し上げる」と述べて、改めて県として最終処分場を受け入れることはないという考えを示しました。