「犯罪被害者等給付金」で改正案 遺族団体評価も課題指摘

犯罪被害者の遺族などに支払われている国の給付金について、支給の最低額を大幅に引きあげる改正案が25日まとまり、経済的な補償の充実を求めてきた被害者遺族の団体は評価する一方で、過去に犯罪被害にあった人が対象に含まれないなど、課題も残されていると指摘しています。

殺人事件などの被害者の遺族や、犯罪によって重い障害が残った人などに支給される「犯罪被害者等給付金」について、警察庁は25日、支給の最低額を大幅に引きあげる法律の施行令の改正案をまとめました。

これを受けて「新全国犯罪被害者の会」、通称「新あすの会」が都内で会見し、副代表幹事で、オウム真理教による事件で父親を亡くした假谷実さんは「救済を求める被害者たちの切実な声を訴え続けてきた。給付金の最低額が上がることはありがたいと思う」と評価しました。

一方、新たな制度の対象となるのは改正案の施行後に発生した事件の被害者遺族となる見通しで、假谷さんは「いま困っている人を救えない。課題が残った点は残念だ」と述べ、過去に起きた事件も対象に含めるよう求めました。

「新あすの会」では、被害者が加害者に損害賠償を求めても支払われないケースが多いとして国が賠償金を立て替える制度の創設なども求めていて、経済的補償のさらなる充実に向けて引き続き国などに働きかけることにしています。