イスラエル ラファへの地上作戦 “準備完了” 強行するか焦点

イスラエルのメディアは多くの住民が避難するガザ地区南部のラファへの地上作戦について「軍が作戦に向けた準備を完了した」と伝えました。各国が懸念を示す中でも地上作戦を強行するかどうかイスラエル政府の対応が焦点となっています。

イスラエル軍は25日もガザ地区に空爆などを行っていて、ガザ地区の保健当局はこれまでに3万4305人が死亡したと発表しています。

また、ベルギー政府は25日、前日に行われたガザ地区南部のラファへのイスラエル軍の空爆でベルギーの援助機関のスタッフとその7歳の息子が死亡したと明らかにしました。

ラファには多くの避難者を含むおよそ120万人が身を寄せていますが、イスラエル軍はイスラム組織ハマスの壊滅に向けラファへの地上作戦を強行する構えを見せています。

イスラエルの有力メディアハーレツは25日、イスラエル軍がガザ地区北部や中部に展開していた部隊を南部に移動させるなど地上作戦に向けた準備を完了したと政府に報告し、作戦開始のタイミングは、政府の決断次第となっていると伝えています。

その上で、地上部隊による侵攻は住民を避難させたあとに始まるとしていて、ラファの住民を別の場所に避難させるには数週間かかるとの見方を示しています。

ラファへの地上作戦に対してはアメリカが繰り返し懸念を伝えているほか、ラファと境界を接するエジプトも「破滅的な事態となる」と警告していて、イスラエル政府がどのような対応を示すかが焦点となっています。

エジプト “関係断絶につながる可能性” 警告

イスラエル軍がガザ地区南部のラファへの地上作戦を強行する構えを見せる中、アメリカのニュースサイト、アクシオスはイスラエル軍や情報機関の高官らがラファと境界を接するエジプトの情報機関の高官らと24日、カイロで会談を行ったと伝えました。

それによりますと、エジプト側はラファへの地上作戦が強行されれば、避難民の流入で治安が悪化するおそれがあると懸念しているということで、会談ではイスラエルとの関係断絶につながる可能性があり、両国の平和条約を危うくすると警告したということです。

これに対して、イスラエル側は、軍事・外交面でのエジプトとの緊密な連携はラファの地上作戦での基本的な条件だと伝えたということです。

また、アクシオスによりますとイスラエル軍はアメリカ国防総省に対し、ラファへの地上作戦について、全域におよぶ全面侵攻ではなく、地区ごとに分け段階的に進めていく計画だと伝えたということです。

18か国首脳 ハマスに人質の即時解放 求める共同声明

アメリカなど18か国の首脳は25日、イスラム組織ハマスに対してガザ地区で拘束している人質を即時に解放するよう求める共同声明を発表しました。

声明はアメリカのほか、ドイツやタイ、それにアルゼンチンなど、ハマスに自国民が拘束されているとする国々がまとめました。

声明では、人質たちは200日以上にわたってガザ地区で拘束されているとして、国際的な懸念事項だとしています。

その上で「われわれは自国民を連れ戻すための仲介努力を強く支持する」とした上で人質の解放に向けた交渉で提示されている案は、ガザ地区での即時かつ長期的な停戦をもたらし人道支援の増加を促すと強調しています。