1からわかる「新しいお札」なぜ変わる? 世界初 顔が動く?

1からわかる「新しいお札」なぜ変わる? 世界初 顔が動く?
7月から20年ぶりにお札のデザインが新しくなるね!

どんな風に変わるんだろう?

そもそもなんで、これまで使ってきたお札をわざわざ新しくする必要があるの?

こどもニュース探検隊(たんけんたい)のぼく、「ニュースター」(10さい)が、新しいお札について、みんなの気になるギモンを調べてきたよ。

(4月19日「午後LIVE ニュースーン」で放送)

新しいお札の「顔」は

さぁ、みなさん。まもなく新たなお札が発行されますよー!

新しいお札の「顔」。
一万円札は「近代日本経済(けいざい)の父」とよばれる、渋沢栄一(しぶさわ・えいいち)。

五千円札は、日本で最初の女子留学生(りゅうがくせい)としてアメリカで学んだ、津田梅子(つだ・うめこ)。

千円札は、破傷風(はしょうふう)という病気の治療法(ちりょうほう)を開発した北里柴三郎(きたさと・しばさぶろう)だよ。

こどもたちのギモン

新しいお札について、こどもたちに「どんなことが知りたいか」聞いてみたよ。
「そもそもなんで、お札が新しくなるの?」
「わざわざ時間とお金をつかって変える意味はあるの?」
「お札にのる人をどうやって選んでいるの?」
たしかに、ギモンがいろいろあるよね。

なぜ新しいお札を作るの?

まずは「なぜ新しいお札を作るのか」を調べるために、東京の貨幣博物館(かへいはくぶつかん)に来たよ!
お~!新しいお札、発見!

主任学芸員の関口(せきぐち)かをりさん。
どうしてお札を新しくするの?
(関口さん)
「偽札(にせさつ)を作られないようにするためなんです。新しいお札に最新の技術(ぎじゅつ)をもりこんでいるので偽札は作られにくくなります」
偽札を作られないようにするためなんだ!
ここでちょこっと解説(かいせつ)。
そもそも細かいところまで注意して作られている、日本のお札。
偽札の発見枚数は1000万枚あたり、およそ1枚!その少なさは世界トップクラス

それなら「わざわざ新しくしなくてもいいんじゃない?」なんて思っちゃうけれど・・・でも実は、
偽造通貨対策研究所の遠藤智彦(えんどう・ともひこ)所長によると、「カメラやプリンター、スキャナーなどの技術がどんどん進化している。ずっと同じお札だと偽札を作る悪い人たちに研究する時間を与え、精度(せいど)の高い偽札が出回る危険性(きけんせい)がある」んだって!
予防のためにも新しくする必要があるんだね。

最新の技術がてんこもり 世界初も

関口さん!偽札対策(たいさく)の最新技術、教えてほしいにゅ~!
(関口さん)
「ニュースターくん、これを見てください」
「丸」の中に人がうかんでる!
(関口さん)
「これは『すき入れ』といって、紙の厚さ(あつさ)を変えることで、光にかざしたときに模様(もよう)がうかび上がるようにしているんです。今までのお札は『すき入れ』の人物のうしろに何も入ってなかったですよね」
たしかに!何も入ってないにゅ~。
(関口さん)
「今回から『高精細(こうせいさい)すき入れ』といって、人物の後ろにも細かい線がひし形のような模様で入っています。より高度なすかしになっているので、偽造がされにくくなっています」
なるほど~!偽札を作らせない最新技術、ほかにもあるのかな?
んっ!
顔の向きが変わっていく!?
(関口さん)
「これが『3Dホログラム』と言って、津田梅子の顔が追いかけてくるように角度が変わっていきます。この『3Dホログラム』がお札に使われるのは世界で初めてなんです」
お札をかたむけると人物が回転し、立体的に動いて見える最先端(さいせんたん)の技術なんだって。
プリンターやスキャナーで再現(さいげん)するのはむずかしいみたいだよ。
(関口さん)
「いろんな技術を組み合わせているということが、偽造防止(ぎぞうぼうし)につながるということになります」
ちなみに、新しいお札が発行された後も、今のものはこれまで通り使うことができるそうだよ。

みんなが「使いやすい」デザインに

ほかにも、子どもたちからはこんな質問(しつもん)もあったよ。
「お札に斜め(ななめ)の線がひかれてあるのはなんで?」

この線はさわると”でこぼこ”しているよ。
目に障害(しょうがい)のある人が、お札をさわって何円札かわかるように、お札の種類ごとに線の位置(いち)を変えてるんだって。

新一万円札は左右中央に、五千円札は上下に、千円札は左下と右上に線があるよ。

これは「ユニバーサルデザイン」と言って、たくさんの人にとってお札を使いやすいものにするためなんだ。
「ユニバーサルデザイン」はほかにもあって、海外の人など漢字が読めない人にもお札の種類がわかりやすいように「1000」などの数字を大きくしているよ。

お札に「人の顔」はなぜ?

さらに、子どもたちからはこんなユニークな質問もあったよ。
「人が大きく写っているけれど、町の風景とかほかのものでもいいんじゃないの?」
日本銀行によると、これは「偽札への対策で、『人の顔』はお札を使う人にとって印象(いんしょう)に残りやすく、小さな違い(ちがい)でもわかりやすい」のだそうまた「お札を使う人たちに親しみをもってもらうため」といった理由があるんだって。

お札の「顔」はどうやって選ばれる?

お次は、子どもたちからたくさんあがったギモン。
「お札の人物はどうやって選ばれているの?」
ガンガン調べるで~!

おっ!なになに?財務大臣(ざいむだいじん)が決める?
ここでちょこっと解説。
お札の人物を決めるときは、財務省(ざいむしょう)と日本銀行、そして国立印刷局(いんさつきょく)が話し合って候補(こうほ)を出すんだって。
そこから財務大臣が決めることになっているよ。

教科書にものっているような世界にほこれる人を選ぶんだって。

一万円札の顔は“渋沢さん”

新しい一万円札の顔に選ばれた渋沢栄一は、日本で最初に銀行をつくった人で、鉄道やガスなどいろんな会社の設立(せつりつ)に関わったんだよ。「近代日本経済の父」とよばれているんだ。

“渋沢さん”がお札に選ばれた理由。もっとくわしく知りたい!
ってことで、史料館(しりょうかん)にGO!
史料館の顧問(こもん)をつとめる井上さん。渋沢さんとお札のヒミツ、教えて!
(井上さん)
「ニュースターくん。これが国立印刷局にお貸(か)しした、70歳の時の渋沢栄一の写真なんだよ。私たちが写真をお貸ししたのはこの1枚だけなんだけど、(史料館にある)いろんな写真を見比べながら、60代の渋沢栄一を想定して描(か)かれたということを聞きました」
えーっ!お札の顔って「写真」だと思ってたけれど「絵」だったんだね!

渋沢さんが新一万円札に選ばれた理由、知ってる?
(井上さん)
「渋沢栄一が選ばれた理由は正確なところはよくわからないんです。私は発表の2日前にお知らせを受けました。選ばれた理由についてはなかなかお話いただけなかったな」
井上さんは、なぜ渋沢さんが選ばれたと思う?
(井上さん)
「渋沢栄一さんという人は、日本全体がみんな豊かで平和で楽しくすごせるような世の中を作ろうということでいろんなことに目を向けて尽力(じんりょく)した人なので。それがみなさんの目にとまって『この人なら』ということで一万円札の肖像(しょうぞう)に決まったのではないかと思います。いい機会がめぐってきたなということで、大変うれしい思いをしました」
ぼくも「お札の顔」になれるよう、世界にほこれる人物になりたいな。
まったにゅ~。

ここからはおさらいクイズだよ。ぜひチャレンジしてみてね!

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