“世田谷区長室の備品に約1200万円”記事で新潮社に賠償命令

東京 世田谷区の保坂展人区長が、区長室などの備品におよそ1200万円がかかっているなどと書かれた週刊新潮の記事で名誉を傷つけられたと訴えた裁判で、東京地方裁判所は「真実だとは認められない」などとして出版元の新潮社に110万円の賠償を命じました。

2023年2月に発売された週刊新潮は、世田谷区役所の建て替えに伴う備品交換で区長の執務用の棚や応接チェアなどにおよそ1200万円がかかっているなどとする記事を掲載しました。

保坂展人区長は「事実と異なり、名誉を傷つけられた」として出版元の新潮社に賠償などを求める訴えを起こし、新潮社側は全面的に争っていました。

25日の判決で東京地方裁判所の貝阿彌亮裁判長は、区長室などの備品は記事が掲載された時は購入されておらず、その後484万円余りで落札されたことなどから、「公金からおよそ1200万円が支出された事実は存在せず、記事が真実だとは認められない」と指摘しました。

そのうえで「区長としての資質に重大な問題があるとの印象を読者に与えた」として新潮社に対して110万円の賠償を命じました。

一方、「区長も反論できる立場だった」などとして謝罪広告や記事の削除の訴えについては退けました。

世田谷区 保坂区長「評価も記事の削除など認められず控訴検討」

今回の判決について世田谷区の保坂展人区長は「去年の区長選挙の直前に出された全く事実と異なる記事に対し、裁判所が名誉毀損を認めたことは名誉の回復という点で大きな意味があり評価したい。一方で、記事の削除や謝罪広告の掲載が認められなかった点については控訴を検討したい」と話しています。

週刊新潮編集部「主張認められず大変遺憾」

判決について「週刊新潮」編集部は「こちらの主張および記事の真実性・信ぴょう性が認められなかったのは大変遺憾です」とコメントしました。