国連安保理 日米提出の宇宙非核化決議案 否決 ロシアが拒否権

国連の安全保障理事会では、宇宙空間に核兵器などの大量破壊兵器を配備しないよう求める決議案を日本とアメリカが提出し、採決の結果、理事国15か国のうち13か国が賛成しましたが、ロシアが拒否権を行使して、否決されました。

日本とアメリカが提出した決議案は、宇宙での軍拡競争を防ぐため宇宙空間の平和利用などを定めた「宇宙条約」の順守を確認した上で、地球の周回軌道上に配備する目的で核兵器などの大量破壊兵器を開発しないよう求めています。

24日に行われた採決の結果、理事国15か国のうち13か国が賛成しましたが、中国が棄権し、ロシアが拒否権を行使して、決議案は否決されました。

採決のあと、アメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は「ロシアが世界の核不拡散体制を弱体化させたのは今回が初めてではない。ここ数年は核を巡る無責任で危険な主張を繰り返し軍備管理の義務から逃れてきた」と非難し、日本の山崎国連大使も「これほどシンプルで重要な内容について、なぜ安保理が結束できないのか理解に苦しむ」と述べ、ロシアの拒否権行使に遺憾の意を示しました。

これに対してロシアのネベンジャ国連大使は、安保理ではなくすべての加盟国が参加して議論すべきだと主張し「政治的なプロパガンダだ。アメリカが決議案を出した唯一の理由はロシアをひぼう中傷することだ」と反発しました。

安保理では先週、パレスチナの国連加盟を勧告する決議案がアメリカの拒否権で否決されていて、常任理事国同士の対立から拒否権の行使が相次いでいます。

林官房長官「決議案 否決されたことは遺憾」

これについて林官房長官は記者会見で「決議案が否決されたことは遺憾だ。常任理事国として国際の平和と安全の維持に大きな責任を負うべきロシアが、安保理の責務と密接に関係する宇宙空間の平和と安全に関する決議案に対し、拒否権を行使する選択をしたことは残念だ」と指摘しました。

その上で「わが国としては宇宙空間が核兵器のない領域であり続けるべきだと強く考えており、安定的かつ持続可能な宇宙空間の利用のため、国際的なルール作りの議論に引き続き積極的に取り組む。同時に、安保理がその責務を果たし、適切な意思表示を行えるよう、他の理事国とも密接に連携し、積極的に対応していく」と述べました。