岐阜 池田町長に「辞職相当」セクハラ認定で 町長は辞職の意向

岐阜県池田町の町長のセクハラの疑いを調査していた第三者委員会は、女性職員など15人に対するセクハラがあったと認定し、町長に反省や改善の態度が見られないとして「辞職相当」だとする調査報告書を町に提出しました。
これを受けて町長は辞職する意向を明らかにしました。

池田町では去年7月、町の職員と元職員の女性2人が、岡崎和夫町長(76)からセクハラを受けたと訴え、弁護士3人を委員とする第三者委員会が調査を進めていました。

その調査報告書がまとまり、幅隆彦委員長が24日に牛嶋勝一副町長に提出しました。

それによりますと、アンケートや聞き取り調査などの結果、職員と元職員の女性15人に対するセクハラがあったと認定しました。

特に深刻な被害として、1人の女性に対し、服の上から腕や太ももなどを触るといった行為があり、去年5月に被害者と示談していたということです。

ほかの女性にもキスをしようとしたり、尻や胸を触ったりする行為があったとしています。

セクハラがあった場所は町長室や宿直室がほとんどで、被害者は入庁まもない若い女性職員が多かったということです。

一方、岡崎町長は、第三者委員会の聞き取りに対し、告発した女性1人に激励の意味で握手をしたり、肩をたたいたりしたかもしれないが、ほかの女性へのセクハラや、示談したことは否定したということです。

報告書では町長のセクハラに対する認識に問題があり、反省や改善の態度が見られず、町の懲戒処分の指針では免職が相当と考えられる事案だとして、「町長は辞職相当である」としています。

また、セクハラは10年以上続いていたということで、長期化した背景については岡崎町長が町職員としておよそ37年勤務し、町長も6期目で20年以上務めていることから影響力が強く、職員が逆らうことは困難だったと指摘しています。

牛嶋副町長は会見で、「これまで職員から相談はなく、セクハラがあったことに全く気付かず大変悔やんでいる。外部に委託するなどして気軽に相談できる窓口を設けることも検討したい」と話していました。

これを受けて岡崎町長は24日午後、辞職する意向を明らかにしました。

25日午前に町議会議長に辞職願を提出するということで、岡崎町長は「『辞職相当』とのことばを真摯(しんし)に受け止めました。報告書の中身についていろいろ思いもありますが、否定も肯定もしません。私の不用意な発言や行動があったことは、職員や町民の皆さんに大変申し訳ない」と述べました。

町長は25日、改めて記者会見することにしています。

町の人 “恥ずかしい” “即時の辞任を”

第三者委員会の報告書で町長のセクハラが認定されたことについて、70代の男性は「町長は話が上手で支持もしていたのでこのニュースを聞いたときは驚きました。これだけ問題が広がってしまったので辞任をしてもらわないとしかたないと思う。こんなことで池田町が有名になったことは、恥ずかしい」と話していました。

70代の女性は「こういう方が選挙で選ばれて、町民として恥ずかしいです。同じ女性として、触られたくない部分を触られるのは許せず、即時の辞任を求めます。役場は町の中心なので、風通しのいい職場になってほしい」と話していました。

町長のセクハラについて被害者から相談を受け、去年7月に問題を明らかにした労働組合「岐阜青年ユニオン」は24日夜、岐阜市で会見を開きました。

会見には最初に被害を訴えた職員と元職員の女性2人がスクリーンで姿が見えないようにして同席しました。

このうち第三者委員会の調査報告書で町長からのセクハラを認定された元職員の女性は「萎縮して証言が出ないのではないかと不安だったので、報告書の内容については率直にほっとしています。一方で町長の態度は苦しい言い訳で反省が見られず憤りを覚えます。辞職して解決ではなく、職員が今後どうしていくかが重要だと思います」と話しました。

「岐阜青年ユニオン」の平野竜也さんは「今回の調査では、ハラスメントが行われていても行為者がトップの場合は組織の中で声をあげることがいかに困難かということが改めて浮き彫りになった」と述べました。そのうえで再発防止については「内部の組織では限界がある。労働組合の代表者や外部の専門家も含めた組織でより実効性がある具体的な方策を策定していく必要がある」と話していました。