福島第一原発 約6時間半処理水の放出停止 送電ケーブル損傷か

24日午前、福島第一原子力発電所内の設備に電気を供給する系統の一部が停止するトラブルがあり、この影響でおよそ6時間半にわたって処理水の海への放出が停止しました。トラブル発生当時、送電ケーブルの近くで地面を掘削していた作業員がやけどをするけがをしていて、東京電力は、誤ってケーブルを損傷した可能性があるとみて原因を調べています。

24日午前10時43分ごろ、福島第一原発で所内の設備に電気を供給する電源のうちA系と呼ばれる系統が停止しました。

電源は午後4時過ぎまでに復旧しましたが、この影響で今月19日から行われている処理水の海への放出が午後5時16分までおよそ6時間半にわたって停止しました。

また、廃炉作業の監視などを行っている免震重要棟では、トラブル発生直後に一時、停電したほか、電源の復旧作業中だった午後2時23分ごろから再び20分間停電しました。

13年前の事故で溶け落ちた核燃料デブリや、使用済み核燃料の冷却など安全上重要な設備への電気の供給は、ほかの電源に切り替えるなどして継続していて、モニタリングポストなどの値にも異常はなかったということです。

東京電力によりますと、原発の敷地内では、電気の供給が停止した同じ時間に、この系統の送電ケーブルの近くで地面を掘削していた作業員が顔や右腕などにやけどをして病院に搬送されましたが、作業員の命に別状はないということです。

東京電力は、地面の掘削中に誤って送電ケーブルを損傷した可能性があるとみて作業員に話を聞くなどして原因を調べています。

林官房長官「安全機能は維持されている」

林官房長官は、午後の記者会見で「原子炉建屋の冷却機能は維持されていて、モニタリングポストの数値などに有意な変動はなく、福島第一原発の安全機能は維持されている。『ALPS処理水』も安全上の問題なく、放出停止状態となっている」と説明しました。

そのうえで「停電の原因は、構内で行われていた掘削作業で誤ってケーブルを損傷したためと推定されると報告を受けていて、復旧に向けて作業中だ。経済産業省から東京電力に指導しているが、廃炉作業の安全確保と丁寧な情報発信に万全を期してもらいたい」と述べました。