【23日詳細】イスラエル軍とハマス 戦闘開始から200日

去年10月にイスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が始まってから、23日で200日となります。イスラエル軍は、多くの住民が避難するガザ地区南部ラファへの地上作戦を行う構えを崩しておらず、改めて国際社会から懸念の声が上がっています。

※中東情勢に関する日本時間4月23日の動きを随時更新してお伝えします。

戦闘開始から200日 イスラエル首相 ラファ地上作戦の構え

去年10月7日のハマスによる奇襲攻撃を受けてイスラエル軍とハマスとの戦闘が始まってから、23日で200日となります。

イスラエル軍は23日もガザ地区の広い範囲で空爆などを行っていて、ガザ地区の保健当局は、この24時間で32人が死亡し、これまでの死者は3万4183人に上ると発表しています。

イスラエルのネタニヤフ首相は、ハマスの壊滅にはガザ地区の最も南に位置するラファでの地上作戦が必要だとしていて、21日の演説でも「今後、数日間でハマスへの軍事的・政治的圧力を強めていく」と述べ、攻勢を強める構えをみせています。

アメリカの有力紙、ウォール・ストリート・ジャーナルは、22日付けの記事で「イランとの緊張が緩和したこともあり、イスラエルはラファへの作戦の準備を進めている」と報じています。

この中で、エジプトの複数の当局者の話として「イスラエルは住民の避難に2、3週間かけたうえで、少なくとも6週間、作戦を続ける見込みだ」と伝えています。

ラファへの地上作戦には国際社会から懸念の声

一方で、多くの住民が避難し、およそ120万人が身を寄せているラファへの地上作戦に対しては、国際社会から懸念の声が上がっていて、イスラエルを支援するアメリカ政府も大規模な地上作戦を避けるよう働きかけています。

EU=ヨーロッパ連合のボレル上級代表も22日「ラファを攻撃しないようあらゆる手段で呼びかけている」と述べるなど改めて懸念を示していて、イスラエル側の対応が焦点となっています。

“住民らの遺体 少なくとも283体” ロイター通信など

イスラエル軍はガザ地区への攻撃を続けていて、22日も地元メディアは南部ラファで26人が死亡したなどと伝えています。

こうした中、イスラエル軍が部隊を撤収させた南部ハンユニスのナセル病院で、敷地に住民らの遺体が埋められているのが見つかり、ロイター通信などは少なくとも283体に上ると伝えています。

これについて、イスラム圏の国や地域でつくるOIC=イスラム協力機構は22日、声明を出し、イスラエル軍による虐殺で戦争犯罪の疑いがあるとして、国際刑事裁判所による捜査などを求めました。

UNRWAめぐる検証グループの最終報告書 “中立性確保と評価”

ガザ地区の人道支援を担っているUNRWAをめぐっては、一部の職員が去年10月のイスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃に関与したとされる疑惑が出たこと受けて一部の国が資金の拠出を停止し、ことし2月から独立した検証グループが、中立性を確保して活動しているか調査を行っていました。

検証グループを率いるフランスのコロナ前外相は22日、国連本部で記者会見し、最終報告書を発表しました。

報告書では「UNRWAは中立性の原則に重点を置いて相当な数の仕組みや手続きを確立していて、ほかの国連機関やNGOよりも中立性に対するアプローチが進んでいる」と評価しました。

ただ、課題として、内部規則や研修の強化などさらなる取り組みが必要だと指摘しました。

一方で報告書は「イスラエルはUNRWAのかなりの数の職員がテロ組織のメンバーだと主張したが、これまでにイスラエルからはそれを裏づける証拠が提供されていない」としています。

記者会見でコロナ氏は「UNRWAはこの危機的な時期に、ガザでの人道支援で極めて重要な役割を担っている」とした上で「UNRWAがその使命を果たせるよう、国際社会の協力を求める」と訴えました。

米国務省の人権報告書 “ガザ地区の状況 深く憂慮”

アメリカ国務省は、世界の人権状況に関する報告書で、イスラエルとイスラム組織ハマスによる衝突によってガザ地区の人権状況に「非常に憂慮すべき懸念がある」とした上で、イスラエルに対し、自衛権を行使する際は国際法に基づき民間人を保護するための措置をとるべきだと強調しています。

アメリカ国務省は22日、去年1年間の世界の人権状況をまとめた報告書を発表しました。

この中では、イスラエルとイスラム組織ハマスのガザ地区での衝突について「人権をめぐる非常に憂慮すべき懸念を提起し続けている」と指摘しました。

その上でイスラエルに対しては「自衛権を行使する際は、国際法に基づいて軍事作戦を行い、民間人を保護するためのあらゆる措置をとるべきだ」と強調しています。

また、ハマスについては「民間人や民間施設を盾にして、人質の解放を拒否し続けている」と非難しています。

ブリンケン国務長官は記者会見で「国際法違反などの疑いのある事案については国務省内で調査している」と述べ、イスラエルのガザ地区への攻撃をめぐり、アメリカ政府として国際法違反などにあたるかどうか今後、判断する考えを示しました。

イスラエル軍 “ハマスの攻撃を許した” 情報部門トップ辞任発表

イスラエル軍は22日、情報部門のトップを務めるハリバ諜報局長が、去年10月のハマスによる越境攻撃を許した責任をとって辞任することになったと発表しました。

イスラエル国内ではハマスの攻撃を許した政権や軍幹部などの責任を問う声が根強く、諜報局長の辞任により人質の解放が思うように実現できていないネタニヤフ首相への風当たりもさらに強まることが予想されます。