モスクワ郊外テロ事件1か月 ロシア ウクライナ関与主張強める

ロシアの首都モスクワ郊外で140人以上の市民が死亡したテロ事件から、4月22日で1か月となります。事件は過激派組織IS=イスラミックステートの戦闘員による犯行とみられていますが、ロシア政府はウクライナが関与したとの主張を強めています。

ロシアの首都モスクワ郊外のコンサートホールで3月22日に起きたテロ事件では、140人以上の市民が死亡し、ロシアで過去20年で起きたテロ事件で最悪の被害となりました。

事件は過激派組織IS=イスラミックステートの戦闘員による犯行とみられ、これまでに実行犯4人が起訴されています。

ただ、ロシア側は事件発生直後から繰り返している、ウクライナが関与したとの主張を一層強めていて、プーチン大統領の側近、パトルシェフ安全保障会議書記は4月16日、「捜査の過程で、実行犯とウクライナの民族主義者との直接的なつながりが確認された」と主張しました。

また、ロシア最高検察庁のクラスノフ検事総長も4月18日、テロ行為に関与したすべての人物の特定を急いでいるとしたうえで、「ウクライナが関与したことは明らかだ」と述べています。

これに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領は関与を全面的に否定しているほか、アメリカやフランスの政府もISによる犯行だったと指摘しています。

ロシアがウクライナ関与説を主張し続ける背景には、事前にアメリカからテロ計画に関する情報が伝えられていたにもかかわらず、十分な対応をとれなかったことから、国民の目をそらせたり、ウクライナへの攻撃を強める口実にしたりするねらいがあるとみられています。