【22日詳細】イスラエル首相 “ハマスへの圧力強める”

イスラエルのネタニヤフ首相は、イランとの対立を深める一方で、「今後、数日間でハマスへの軍事的・政治的圧力を強めていく」と述べるなど、パレスチナ側への攻勢も強める姿勢を改めて示しました。
一方、22日からはユダヤ教の重要な祭日が始まりますが、エルサレムでは車が歩行者に突っ込み、警察がテロ事件として捜査するなど警戒感も広がっています。

※中東情勢に関する日本時間4月22日の動きを随時更新してお伝えします。

エルサレムで歩行者に車突っ込む テロ事件として捜査

22日からはユダヤ教の重要な祭日「過越しの祭り」が始まります。

エルサレムではユダヤ教の教えを厳格に守る「超正統派」と呼ばれる人たちが多く暮らす地区で、22日朝、複数の男性らが路上で立ち話をしていたところに車が突っ込む事件が起きました。

その後、2人組の男が車からおりて銃を発砲しようとしましたが、銃が作動せずその場から立ち去り、警察はテロ事件として捜査していて、祭日の初日を迎える中、警戒感も広がっています。

亡くなった妊婦から赤ちゃん生まれる

イスラエル軍は22日もガザ地区への空爆を続けていて、地区の保健当局は、これまでに3万4000人以上が死亡したと発表しています。

AP通信などによりますと、南部のラファでは20日から21日にかけての空爆で、子ども18人を含む22人が死亡したということです。

死亡した中には妊娠30週目だった女性もいて、病院に搬送されたときすでに亡くなっていましたが、医師らが緊急の帝王切開を行い、女の子の赤ちゃんが生まれたということです。

女の子の容体は安定しているということですが、体重は1400グラムしかなく、現地からの映像には、医師らが女の子を布にくるみ、口から空気を送り込んでいる様子が写っています。

空爆では、女の子の母親だけでなく父親と3歳の姉も亡くなっていて、病院の医師は「女の子は生まれながらにして孤児になってしまい、大きな悲劇だ」と話していました。

ネタニヤフ首相 ハマスへの攻勢強める姿勢改めて強調

ネタニヤフ首相は21日の演説で、イスラム組織ハマスが人質の解放に向けた提案を拒否してきたと主張したうえで、「今後、数日間でハマスへの軍事的・政治的圧力を強めていく。なぜならそれが人質を解放する唯一の方法だからだ」と述べ、ハマスへの攻勢を強める姿勢を改めて強調しました。

ヨルダン川西岸へのイスラエル軍による攻撃について、UNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関のラザリーニ事務局長は、「ヨルダン川西岸の状況は日に日に悪化している。イスラエル側の最近の作戦は人命の損失に加え、家屋や公共サービスに深刻な被害をもたらした」とSNSに投稿して、被害状況への懸念を示しました。

ハメネイ氏が演説 対抗措置には言及せず

イランの国営テレビによりますと、21日、最高指導者ハメネイ師が軍の司令官らを前に演説し、イランからの攻撃について「相手は発射されたミサイルの数や命中した数、外れた数を気にしているが、大切なことはイランの国民と軍が世界に向け意志の力を示したことだ」とたたえました。

一方で、イスラエルによるとみられる対抗措置についての言及はなく、今のところイランとしてさらなる反撃に出て緊張を高める考えはないことを示唆しているとみられます。

ただ、イランとイスラエルの間に位置するイラクでも20日、イランの支援を受ける民兵組織の基地で、原因が明らかでない爆発がおきたと伝えられ、中東情勢の緊張が続いています。

イスラエル軍 ガザ地区などへの攻勢続ける

イランとの対立のかたわらで、イスラエル軍はパレスチナ側への攻勢も続けていて、21日もガザ地区南部のラファの中心部などを空爆し、現地にいるNHKのカメラマンも市街地から煙が上がる様子を撮影しました。

ガザ地区の保健当局は21日、この24時間でさらに48人が死亡し、これまでの死者は3万4097人にのぼったと発表しています。

また、イスラエル軍はヨルダン川西岸のトルカレムにも18日から3日間にわたって侵攻して武装勢力と激しい戦闘となり、パレスチナ暫定自治政府は14人が死亡したと発表しました。

トルカレムで撮影された映像では、住宅地が大きく破壊されブルドーザーでがれきの撤去を進めている様子が確認できます。

パレスチナの旗を蹴り倒し爆発「信じられない」

イスラエルやパレスチナのメディアは21日、ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地に近い道路脇に立てられていたパレスチナの旗をイスラエル人の男性が蹴り倒したところ、仕掛けられていた爆発物が爆発する様子をとらえた映像を、一斉に伝えています。

映像ではまず、男性が茂みを歩いて旗の方に向かう後ろ姿と、撮影者とみられる女性が「ここに存在しない国のぼろきれを倒しに行く」と話す声が記録されています。

そして男性が旗を蹴り倒した瞬間、爆発が起きて男性が倒れ、女性が「地雷が仕掛けられていた。信じられない」と悲鳴を上げています。

地元メディアは爆発物は地面に埋められており、男性は軽傷ですんだと伝えています。

この映像がいつ撮影されたのかは明らかではありませんが、去年10月にガザ地区でイスラエル軍とイスラム組織ハマスとの戦闘が始まってからは、ヨルダン川西岸でもイスラエル軍の兵士やユダヤ人入植者による住民への暴力事件などが相次いでいます。