【21日詳細】米議会下院イスラエル支援に263億ドル予算案 可決

イランとイスラエルの緊張が高まるなか、アメリカ議会下院は、イスラエルへの支援として総額およそ263億ドル、日本円にして4兆円余りの緊急予算案を超党派の賛成多数で可決しました。

※中東情勢に関する日本時間4月21日の動きを随時更新してお伝えします。

米議会下院 イスラエル支援に約263億ドルの緊急予算案 可決

アメリカ議会下院は20日、ウクライナへの追加の軍事支援のための緊急予算案を可決したのに続き、イスラエルを支援する緊急予算案の採決を行い、賛成366票、反対58票の超党派による賛成多数で可決しました。

予算案は総額およそ263億ドル、日本円にして4兆円余りで、イスラエルの防空システムの補充や弾薬の製造能力の強化といった軍事支援、それに人道支援などに充てるとしています。

今後上院でも可決されれば、バイデン大統領の署名を経て成立することになります。

オースティン国防長官は「イスラエルのイランやその関連勢力からの防衛を支援することになる」とコメントしています。イランとイスラエルは緊張が高まっています。

今月13日から14日にかけてイランはイスラエルに向けて大規模な攻撃に踏み切り、イスラエル軍はほとんどを迎撃したとしています。

イランのほかレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラからの攻撃もあり、支援が実現すればイスラエルは防空能力強化などをはかるものとみられます。アメリカ国内ではガザ地区での民間人の犠牲が増え続ける中、イスラエルへの支援に批判的な声もあります。ただ、議会ではイスラエルへの支援を早急に進めるべきだという声が強まっていました。

イスラエル首相「大変ありがたい支援」

イスラエル政府はアメリカ議会下院が、イスラエルへの軍事支援などを含む緊急予算案を超党派の賛成多数で可決したことを歓迎しました。

ネタニヤフ首相は「アメリカ議会は、イスラエルへの強力な超党派の支持を示し、西洋文明を守る、大変ありがたい支援法案を圧倒的多数で可決した」とSNSに投稿し、歓迎しました。

イスラエル軍はガザ地区でのハマスとの戦闘だけでなくレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラなどとの戦闘も長期化するなかで弾薬の確保が課題だと指摘されていました。

“イランでの爆発 イスラエルが軍事力誇示でけん制か”米紙

イランでは19日、中部イスファハン州にある空軍基地の近くで爆発があり、数機の小型無人機が撃墜されたと地元メディアなどで伝えられています。

この爆発についてアメリカの有力紙「ニューヨーク・タイムズ」は、20日、欧米側とイラン側の複数の当局者の話として、イスラエルの攻撃で、イランのイスファハン州内の核施設のある地域を守るための防空システムが被害を受けたとしています。

その上で欧米の当局者は「イスラエルの攻撃はイランの防空システムに探知されることなくシステムをまひさせることができるというメッセージを伝えるためのものだった」との見方を示しています。

イスラエルとイランは、報復とみられる攻撃を続けていますが、双方ともに大規模な武力紛争に発展することは避けたい思惑があるとみられ、イスラエルとしては、高度な軍事力があると誇示しイラン側をけん制したともみられています。

一方、イラクのイスラム教シーア派の民兵組織「人民動員隊」は20日、首都バグダッドからおよそ50キロ南に位置する基地で爆発が起きたとSNSで発表しました。

ロイター通信は、病院関係者の話として、1人が死亡し、6人がけがをしたと伝えています。

イランとイスラエルの攻撃の応酬が続く中、イラクで起きた爆発をめぐっても様々な情報が交錯しており、中東情勢のさらなる不安定化が懸念されています。