サッカー男子 五輪アジア最終予選 日本 決勝トーナメント進出

パリオリンピックアジア最終予選に臨んでいるサッカー男子、23歳以下の日本代表は、19日、1次リーグの第2戦でUAE=アラブ首長国連邦と対戦し、2対0で勝ちました。日本は、1次リーグを2勝0敗として勝ち点を「6」に伸ばし、韓国との第3戦を待たずに決勝トーナメント進出を決めました。

日本 1次リーグ2勝0敗で勝ち点「6」 韓国も決勝トーナメント進出

カタールのドーハで行われているアジア最終予選で、8大会連続のオリンピックを目指す日本は、1次リーグ初戦で中国に勝って勝ち点3を獲得し、日本時間の20日未明に行われた第2戦でUAEと対戦しました。

日本は、前の試合から先発メンバーを7人入れ替え、J1のFC東京で6試合5得点と好調の荒木遼太郎選手や、FC町田ゼルビアの躍進を支える藤尾翔太選手などが起用されました。

日本は序盤から主導権を握り、前半27分、コーナーキックのボールを受けた山本理仁選手からのクロスボールに、1メートル86センチの木村誠二選手が頭で合わせて先制しました。

日本はその後も相手のゴール前に迫り、後半16分には大畑歩夢選手がゴール前に蹴り込んだボールがゴールネットを揺らしますが、VAR=ビデオ・アシスタント・レフェリーの結果、オフサイドがあったとして得点は取り消しとなりました。

その5分後、左サイドを駆け上がった大畑選手がゴール前にクロスボールをあげると、川崎颯太選手が頭で合わせて追加点を奪いました。

日本は守備でもボールを持った相手に前線からプレッシャーをかける「ハイプレス」を積極的に仕掛けてUAEの攻撃を封じ、最後まで主導権を渡さずに2対0で勝利しました。

日本は、1次リーグを2勝0敗として勝ち点を「6」に伸ばし、韓国との第3戦を待たずに決勝トーナメント進出を決めました。

一方、韓国も中国に2対0で勝って2連勝とし、決勝トーナメント進出を決めました。

日本の次の試合は22日、1次リーグ第3戦でグループ1位通過をかけて韓国と対戦します。

8チームで行われる決勝トーナメントで3位以内に入ればパリオリンピックの出場権を獲得し、4位はアフリカ、ギニアとのプレーオフに回ります。

木村誠二「突き詰めれば直せる点たくさんある」

先制ゴールを決めた木村誠二選手は、得点シーンを振り返って「山本理仁選手からいいボールが来て、当てればゴールに入るボールだった。あれはほとんど山本選手の得点だと思う」と話しました。

その上で試合全体を振り返って「攻撃では相手のプレスに苦しんで簡単に前に蹴ったり、うまく下からビルドアップできなかった部分があった。守備もよかったわけではなく、僕のところのヘディングはほとんど前で触れていない。突き詰めれば直せる点はたくさんある。そこを直したときにもう一個上のレベルにいけると思うので、練習でみんなで声かけあいながら修正していきたい」と話していました。

川崎颯太「一丸となって戦いに向かいたい」

2点目を決めた川崎颯太選手は、追加点がほしい場面で貴重なゴールとなったことについて「相手の長身フォワードが一発があるというのは分かっていたので、リスク管理しながらも2点目は絶対取りにいくとみんなで共有していた。自分はボランチだが、中に入って点も取れるところを見せたいと思っていたので、それが代表の試合で出せていい状況が続いたと思う」と話しました。

そして、1次リーグ1位通過がかかる次の韓国戦に向けては、初戦で退場し3試合出場停止処分となった西尾隆矢選手のことも踏まえ、「韓国戦はより盛り上がると思うので、隆矢を含め全員で勝ちに行く。皆さんと一丸となって戦いに向かいたい」と意気込みを話していました。

関根大輝「いい形で崩しにいけた」

2試合連続で先発出場した関根大輝選手は、「チャンスが多くある中、しっかり勝つことができてよかった。スカウティングの段階で自分のところが空くという話があったので、相手のウイングのポジションを見て自分がどこに立ったら嫌か、常に考えてプレーできた。右サイドの攻撃の連係もよかったし、いい形で崩しにいけた」と試合を振り返りました。

その上で「アジアの大会は難しい。1戦目の中国と違ってきょうの相手は足の伸び方も違っていた。1試合1試合相手を見て順応しながら、自分を高いレベルに持っていきたい」と話していました。

大岩監督「非常に大きい1勝」

23歳以下日本代表の大岩剛監督は、試合直後のインタビューで「複数得点をとれるチャンスがあったのでそういうところはしっかり次の試合に向けて改善しなければいけない」と反省点から話し始めました。

また、初戦から先発メンバーを7人入れ替えて臨んだことについては、「自信をもって送り出し、選手もそれに応えてくれた。非常に大きい1勝だと思う」と選手たちの頑張りをたたえました。

そして、次の韓国戦に向けて「しっかりとわれわれは準備と分析をして各試合臨んでいるので、同じように準備をして臨みたい」と話しました。

【解説】選手層の厚さで決勝トーナメント進出

UAE=アラブ首長国連邦を破って2連勝で決勝トーナメント進出を決めた日本。初戦の中国戦から先発メンバーを7人入れ替えながら、“全員で攻めて守る”サッカーで試合を支配し、選手層の厚さを印象づけました。

なかでも存在感を示したのがディフェンダーの木村誠二選手です。初戦の中国戦は西尾隆矢選手の退場で急きょ出番が回り、UAE戦は先発メンバーに名を連ねました。

1メートル86センチの長身を生かして高さのあるUAEの選手にヘディングで競り勝って先制ゴールを奪い、守備でもロングボールから得点を奪いに来る相手に対してチャンスの芽を摘み、攻守で日本の勝利に大きく貢献しました。

それでも木村選手は試合後のインタビューで「守備でのヘディングは相手より前にボールに触れていないなど突き詰めれば直せる点はたくさんある」と反省を口にし、さらなる飛躍を誓いました。

一方で課題が残ったのが「決定力」です。UAE戦では相手の3倍以上のシュートを打ち何度も決定的な場面を作りながらも2得点にとどまりました。フル出場した佐藤恵允選手は「何度もチャンスがありながら、決めきれず申し訳ない」と悔しさをにじませました。

1次リーグの「グループA」では開催国のカタールが1試合を残して早々と1位通過を決め、日本や韓国が入る「グループB」の2位のチームと準々決勝で対戦します。日本は次の試合で勝ち点や得失点差などで並んでいる韓国に勝って「グループB」の1位通過を決めたいところです。

現地で解説を担当する元日本代表の森岡隆三さんは「UAE戦ではチームの総力を底上げするゲームができたと思う。今後、決勝トーナメントを勝っていくためには絶対に得点が必要で、韓国戦がそのきっかけになることを期待したい」と話していました。

いまだノーゴールのストライカー細谷真大選手やJ1で好調の荒木遼太郎選手といった攻撃陣がチャンスで決めきることができるかが韓国戦勝利のカギを握っています。

韓国戦 90分で決着がつかない場合 PK戦に

アジア最終予選で、1次リーグ「グループB」に入る日本と韓国はここまで2試合を終えて勝ち点、得失点差、総得点で並んでいます。

両チームが1位通過をかけて対戦する22日の第3戦で90分間で決着がつかない場合、大会の規定でペナルティーキック戦で順位を決めることになります。

初戦退場の西尾隆矢 3試合の出場停止処分

サッカー男子、パリオリンピックアジア最終予選の1次リーグの初戦で、レッドカードを出されて退場した23歳以下日本代表の西尾隆矢選手について、日本サッカー協会はアジアサッカー連盟から3試合の出場停止処分にすると通達があったことを明らかにしました。

ディフェンダーの西尾選手は、16日に行われた1次リーグ初戦の中国戦で、前半17分に相手選手へのひじ打ちでレッドカードを出され退場となりました。

西尾選手の処分について日本サッカー協会は19日、アジア連盟から3試合の出場停止処分にすると通達があったことを明らかにしました。

対象となるのは1次リーグ第2戦のUAE戦のほか、第3戦の韓国戦、それに決勝トーナメントの準々決勝だということです。