G7外相会合閉幕 中東情勢 自制求める共同声明 採択

イタリアで開かれていたG7=主要7か国の外相会合が閉幕し、共同声明が採択されました。イスラエルがイランを攻撃したとの報道を受けて緊迫する中東情勢についてすべての当事者に対し、さらなる事態の悪化を防ぐため自制するよう求めるとしています。

イタリア南部のカプリ島で行われていたG7外相会合は19日、共同声明を採択して閉幕しました。

声明では、イスラエルがイランを攻撃したとの報道を受けて「すべての当事者に対し、さらなるエスカレーションを防ぐために取り組むよう強く求める」として、自制を求めています。

そのうえでイランに対して「さらなる不安定化をもたらす行動に応じて制裁を科したり、そのほかの措置をとったりする用意がある」としています。

また、ガザ地区の情勢をめぐっては「ハマスはすべての人質を即時かつ無条件に解放しなければならない」と訴えています。

一方、ウクライナ情勢については、軍事侵攻を続けるロシアに対し、ウクライナの領土から即時に無条件で撤退するよう改めて求めるとともに「人命を救い、重要なインフラを保護するために、特にウクライナの防空能力を強化する決意を表明する」として、防空システムの供与に連携して取り組む考えを強調しました。

イタリア外相「アメリカは直前に知らされていた」

イタリアで開かれていたG7=主要7か国の外相会合のあと、議長国を務めるイタリアのタヤーニ外相が記者会見を行いました。

この中で、イスラエルがイランを攻撃したとの報道に関連して「アメリカは直前に知らされていた」と述べ、イスラエルがアメリカ側に対し、直前に通告していたことを明らかにしました。

また、中東情勢について「私たちは中東全域の緊張緩和に向けてこれまでも行動してきたし、これからも行動していく」と述べ、G7として引き続き緊張緩和に取り組む考えを強調しました。

上川外相「G7として緊密に連携していく」

イタリアで開かれたG7外相会合に出席した上川外務大臣は、日本時間の20日午後7時半ごろ、記者団の取材に応じました。

アメリカの複数のメディアが政府当局者の話として、イスラエルがイランを攻撃したと伝えたことについて、「わが国としては現在の中東情勢を深く懸念し、事態のエスカレーションにつながるいかなる行動も強く非難する」と述べました。

その上で「きょうの会合では、事態のさらなる悪化を防ぐためG7としてあらゆる外交努力を尽くし、緊密に連携していくことで一致した」と述べました。

また、上川大臣は今回の外相会合について、「分断や対立ではなく協調の世界に向けて、G7がいかにリードしていくか議論を深めることができた」と述べました。

海洋進出強める中国の“力による現状変更の試み”に反対

G7=主要7か国の外相会合は、インド太平洋地域の情勢をめぐって討議を行い、海洋進出の動きを強める中国については、力による現状変更の試みに反対する一方、懸念事項では対話を続ける必要があるという認識を共有しました。

そして、台湾海峡の平和と安定の重要性を改めて確認しました。

北朝鮮については上川外務大臣が「核・ミサイル開発を深刻に懸念しており、同志国の間で連携して断固とした姿勢を示すことが必要だ」と訴えるとともに、拉致問題の解決に向けたG7各国の協力に謝意を示しました。

その上で、ヨーロッパとインド太平洋の安全保障は密接に結びついているとして「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて連携していくことで一致しました。