アメリカ国連大使が初めて長崎の原爆資料館を訪問

アメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使が19日、被爆地・長崎の原爆資料館を訪問し「私たちは核軍縮のための環境を作るよう協力し、世界のあらゆる場所で核兵器の拡散を阻止しなければいけない」と述べました。

アメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は19日、アメリカの国連大使として初めて被爆地・長崎を訪問しました。

アメリカ側の担当者によりますと、午後、平和公園を訪れ、平和祈念像の前に花をささげたということです。

続いて「長崎原爆資料館」を訪れ、長崎市の鈴木市長や資料館の井上琢治館長、それに被爆者の朝長万左男さんらの案内でおよそ25分間にわたって展示を視察しました。

視察を終えた大使はバイデン政権を代表して、芳名録に「政府として同盟国として、またひとりの人間として戦争の惨禍を終わらせるための責務を思い起こした」などと記しました。

続いて「原爆によって命や暮らしが失われ壊滅的に破壊されたことを展示で見た。核兵器は二度と使われてはいけないと、改めて強く思った。私たちは核軍縮のための環境を作るよう協力し、世界のあらゆる場所で核兵器の拡散を阻止しなければいけない。そして核兵器を保有している国は軍備管理を徹底しなければいけない」などとスピーチしました。

担当者によりますと、大使はその後、長崎大学と長崎県立大学の学生たちとの意見交換会に出席したということです。

長崎 鈴木市長「願いを真に共有していただけたものと確信」

長崎市の鈴木市長は「今回の訪問でトーマスグリーンフィールド大使には『長崎を最後の被爆地に』という被爆地、長崎市民の願いを真に共有していただけたものと確信している。アメリカ政府には核抑止への依存から脱却し核兵器のない世界の実現に向けて力強いリーダーシップを発揮するよう求めるとともにバイデン大統領の長崎訪問を要請させていただいた」とコメントしました。

長崎原爆資料館 井上館長「意義があると思う」

大使が長崎原爆資料館を訪れたことについて井上琢治館長は「核兵器が非人道的な兵器であると説明した。国際社会に影響力のある国連大使が長崎に来て実際に被爆地を訪問して直接被爆の実相に触れてくれたことは特に意義があると思う」と話していました。

大使を案内した朝長さん「影響が生涯続くと聞いて驚いていた」

大使を案内した被爆者の朝長万左男さんは「トーマスグリーンフィールド大使には医学的な内容を特に説明し、大使は原爆の影響が生涯続くということを聞いて驚いていたし、アメリカは核廃絶に向けて努力すると言っていた。今回の長崎訪問は『長崎を最後の被爆地に』と真剣に考えているということだと思う」と話しています。

意見交換会に参加した男子学生「貴重な体験をしたと思う」

大使との意見交換会に参加した長崎大学の3年生の男子学生は「核軍縮や原爆について意見を聞くことができて被爆3世として貴重な体験をしたと思う。トーマスグリーンフィールド大使も長崎の若者の意見を聞くことはあまりないと思うので、今後の核軍縮やよりよい世界を作るために役立ててほしい」と話していました。