機能性表示食品制度 あり方など議論の検討会が初会合 消費者庁

小林製薬が機能性表示食品として届け出ていた紅麹の成分を含むサプリメントを摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題を受けて、消費者庁が設置した機能性表示食品制度のあり方を議論する有識者による検討会の初会合が開かれました。
今後、健康被害情報の報告の義務化や適正な品質管理のあり方などについて議論が進められる見通しで、消費者庁は来月末までに制度の見直しの方向性をとりまとめる方針です。

この検討会はオンラインで開かれ、食品や医薬品の専門家など8人が出席しました。

機能性表示食品は、事業者が安全性や機能性の科学的な根拠などを消費者庁に届け出ることで、事業者の責任で適正に表示して販売するというもので、摂取した人が腎臓の病気などを発症した小林製薬の紅麹の成分を含むサプリメントは機能性表示食品でした。

会合では専門家の1人から、海外では医薬品の成分として使われている「ロバスタチン」と同じ物質とされている「モナコリンK」が紅麹の有効成分として届け出されていたことについて、「医薬品の成分を含むものが機能性表示食品として流通してしまっている現状は、そもそも制度に不備があるのではないか」と指摘しました。

また、別の専門家は今回、小林製薬は製品の出荷時の段階で、不純物の混入など何らかの異常に気付いていた可能性があるとして、「現在は事業者の性善説に基づいた制度になっているので、より厳しいルールを作っていかねばならない」と話しました。

また
▽今回の小林製薬のケースでは、国への健康被害の報告までおよそ2か月かかっていて、それが被害を拡大させたと指摘されていることを踏まえ、事業者からの報告について、義務化も含めたルール整備を検討すべきだといった意見が出されたほか
▽現在、取得が望ましいとされている製造工程での品質管理を行う「GMP」という規範について義務づけが必要かどうかを検討することや
▽不確かな有効性を過大に宣伝する事例も多いなどとして、消費者に分かりやすい情報提供の必要性を訴える意見も出されていました。

検討会では今後、消費者団体や健康食品事業者の団体などへのヒアリングを行うなどして議論を行い、消費者庁はその結果を踏まえて来月末までに制度の見直しの方向性をとりまとめることにしています。

専門家 “過去も繰り返し議論に 連携し実効性のある対策を”

機能性表示食品をめぐる検討会の初会合が開かれたことについて、食品安全の問題に詳しい立命館大学客員研究員の畝山智香子さんは「幅広い論点が示されているが、機能性表示食品制度を作るときや厚生労働省の過去の会合でも繰り返し議論になり、提言が行われてきたものだ。それにもかかわらず今回の健康被害が起きてしまったことを反省しなければならない。検討会でまとまった提言は関係省庁が連携して実効性のある対策にしてほしい」と話していました。