【19日詳細】“イスラエルがイラン攻撃 米政府当局者” 報道

アメリカの複数のメディアは政府当局者の話として、イスラエルがイランを攻撃したと伝え、今月13日から14日にかけてのイランの大規模攻撃に対する対抗措置に踏み切ったものとみられます。一方、イランのメディアはイラン中部のイスファハン州で爆発音があり、無人機を迎撃したものだと伝えていて、核施設を含めた重要施設に被害は出ていないとしています。

※日本時間4月19日の動きを随時更新してお伝えします。

イラン中部 基地近くで爆発音“イスラエルが攻撃”米メディア

イランの体制寄りのメディア、ファルス通信は、現地時間の19日午前5時すぎ日本時間の午前10時半すぎ関係者の話として、イラン中部、イスファハン州の北西にある空軍基地の近くで爆発音が聞こえたと伝えました。

同じく体制寄りの別のメディア、メフル通信は爆発音は、3機の小型無人機を撃墜した際の音だと伝え、無人機がどこから飛行してきたかなどの詳しい状況はわからないとしています。

また、イランの国営通信はイスファハン州にある核施設を含めた重要施設に被害は出ていないとしていて、これまでのところ、上空からの大規模な攻撃や爆発は報告されておらず、ミサイル防空システムによる迎撃は行っていないと伝えています。イランの国営テレビは、国内の複数の空港で見合わせていた旅客機の運航が、再開したと伝えました。

一方、アメリカの複数のメディアはアメリカ政府当局者の話として、イスラエルがイランを攻撃したと伝えました。ABCテレビは、政府高官の話として、イスラエルはイランによる大規模攻撃に対する報復措置として複数のミサイルを発射したとしています。

また、CNNテレビは政府当局者の話として攻撃の対象となったのは、核関連施設ではないとしていてIAEA=国際原子力機関は、イランにある核施設に被害は出ていないと発表しています。

イスラエルが今月13日から14日にかけてのイランによる大規模攻撃に対する対抗措置に踏み切ったものとみられますが、イスラエル側からは、これまでのところこれに関連した発表はありません。今後、イスラエル側の発表やイラン政府がどのように対応するかが焦点となっていて、事態がどう推移するかは不透明な情勢です。

シリアの国営通信「空軍施設にイスラエル軍がミサイル攻撃」

シリアの国営通信は19日、軍関係者の話として「午前2時55分ごろ、シリア南部の空軍施設に対して、イスラエル軍がミサイル攻撃を行い、物的な被害がでている」と伝えました。シリアでは、今月1日に首都ダマスカスにあるイラン大使館が攻撃を受け、今回の事態の発端となったほかイスラエル軍は、イランの支援を受ける民兵組織の関連施設などをたびたび空爆しています。

イタリア「イスラエルの対応 事態エスカレートさせないよう」

G7=主要7か国の議長国を務めるイタリアのタヤーニ外相は18日、G7外相会合が開かれているイタリア南部のカプリ島で記者団の取材に応じ「われわれはイスラエルの対応が事態をエスカレートさせるものとならないよう望んでいる」と述べました。

そして19日に採択される見通しのG7外相会合の共同声明を念頭に「文書では、すべての当事者に注意を促すよう訴える予定だ」と述べました。

革命防衛隊幹部「行動起こすならイスラエル核施設も攻撃受ける」

イランの軍事精鋭部隊、革命防衛隊とつながりのあるメディア「タスニム通信」によりますと、革命防衛隊で核施設の防衛を担当するハグタラブ司令官は18日「イスラエルの核施設は特定されている。われわれの核施設に対し行動を起こすならばイスラエルの核施設も攻撃を受けるだろう」と述べ、イスラエル側をけん制しました。

イランは、みずからの核開発について平和利用が目的で核兵器保有の意図はないと主張していますが、ハグタラブ司令官は「イランの核施設に対するイスラエルの脅威は公表されてきた核政策の見直しを可能にする」とも述べたとしています。

ネタニヤフ首相「自衛のため必要なことは何でも行う」

イランによる大規模攻撃を受けてイスラエル政府は対抗措置の検討を続けていて、ネタニヤフ首相は17日の閣議で「自衛のために必要なことは何でも行う」と述べるなど強硬な姿勢を崩していません。

イスラエルの対抗措置をめぐっては、時期や内容などをめぐってさまざまな見方が出ていますが、IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は、標的がイランの核施設になる可能性への懸念にも言及し、イスラエル側に自制を求めています。

アメリカ イランの企業や幹部などに制裁

イランがイスラエルに対し、無人機などによる大規模な攻撃を仕掛けたことを受け、イスラエルと同盟関係にあるアメリカ政府は18日声明を出し、無人機の製造に関与したなどとしてイランの企業やその幹部など2つの団体と16人に対し、資産凍結などの制裁を科したと発表しました。

バイデン大統領も18日声明を発表し、イランによる攻撃のあとG7=主要7か国の首脳と協議したとしたうえで「われわれはイランへの経済的な圧力を強めるため、団結して行動する」として、引き続き同盟国や友好国と連携しながらイランへの圧力を強めていく考えを強調しました。

イギリスもイラン企業幹部などに制裁

イギリス政府は18日、アメリカ政府と歩調を合わせる形で、ミサイルの製造に関与したなどとされるイランの企業の幹部ら7人と革命防衛隊の海軍など6つの団体に対し、資産凍結などの制裁を科したと発表しました。

スナク首相は声明で、イランによるイスラエルへの大規模攻撃を「無謀で、危険なエスカレーションだ」などと非難したうえで「攻撃の首謀者たちに制裁を科した」と主張しました。