陸自 銃撃事件 調査報告書を公表 “教育徹底 訓練要領見直し”

陸上自衛隊は、去年、岐阜市にある射撃場で、実弾射撃の訓練中に隊員が小銃で銃撃され3人が死傷した事件の調査報告書を公表しました。適切に教育や訓練が行われたものの、結果的に事件を防ぐことができなかったとして、教育の徹底や訓練要領の見直しなどを行うとしています。

去年6月、岐阜市にある陸上自衛隊の射撃場で、実弾射撃の訓練中に隊員が小銃で銃撃され、2人が死亡、1人が重傷を負った事件では、19歳の元自衛官候補生が弾薬を奪おうと考え小銃を発射したとして、強盗殺人などの罪で起訴されています。

陸上自衛隊は、内部に設置した調査委員会の報告書を18日公表しました。

それによりますと、元自衛官候補生が所属していた部隊では、規則に基づいて適切に服務指導を行っていたものの、結果として武器を持つことの自覚と心構えが元候補生に養成されていなかったとしています。

また、当日の射撃訓練では、計画どおりの場所で弾薬を交付したものの、小銃も近くにあったため結果として小銃と弾薬が隔離できず、銃撃を行う猶予を与えてしまったとしています。

その上で再発防止策について、すべての隊員に武器を扱う際の心構えに関する教育を徹底するほか、新隊員などの射撃訓練では、弾薬を交付する要領を見直し、隊員の手元に小銃と弾薬が同時にある時間を減らすなどとしています。

陸上自衛隊は、裁判に影響を及ぼす可能性があるとして、当時の詳しい状況については公表しないとしています。

森下陸幕長 “想定を超えたのは事実 再発防止策を徹底”

陸上自衛隊トップの森下泰臣陸上幕僚長は、18日の記者会見で「訓練中の射撃による死傷事案は国民から信頼を受けて武器の使用を許可されている組織として、決してあってはならないことであり、改めて重く受け止めている。同じような事案を2度と起こすことがないよう、射撃訓練の安全の確保を徹底する」と述べました。

また、報告書では部隊が規則に基づいて適切に服務指導などを実施していたとしている一方、結果として銃撃を防ぐことができなかったとしていることについて「陸上自衛隊としては考えられる範囲において、しっかりと規則を整えてきたつもりだ。今回その想定を超えるということがあったのは事実であるので、導き出した再発防止策を徹底していく」と述べました。