南海トラフの想定震源域と関連は? 震度6弱の地震【詳しく】

愛媛県と高知県で震度6弱を観測した豊後水道を震源とする地震について、社会部災害担当の若林勇希記者の解説です。

気象庁によりますと愛媛県と高知県を含む四国では、現在の震度階級が導入された1996年以来、震度6弱の揺れが観測されたのは初めてです。

四国や九州では海側のフィリピン海プレートが陸側のプレートに沈み込んでいて、今回は海側のプレートの内部で起きた地震だと考えられています。

震源の深さが39キロとやや深い場所だったため、津波は発生しなかった一方、広い範囲で揺れが強くなったのが今回の特徴です。

南海トラフ巨大地震との関連は

今回の地震は、南海トラフ巨大地震の想定震源域の中で発生しました。

南海トラフ巨大地震は、プレートの境界部分で発生すると想定されているのに対し、今回の地震は海側のプレートの内部で発生していました。

また、地震のメカニズムについては南海トラフ巨大地震は、海側のフィリピン海プレートが沈み込むことでプレートの境界部分の岩盤に押し合う力がかかってずれ動くと考えられています。

一方、今回の地震はプレート境界よりも深い場所で、「正断層」と呼ばれる断層が東西に引っ張られるように岩盤がずれ動いた地震だと気象庁は説明しています。

そして、気象庁が巨大地震が発生する可能性が急激に高まっているわけではないとした最大の理由が、地震の規模です。

南海トラフ巨大地震の想定震源域の中で地震が起きた場合、気象庁は巨大地震につながるおそれがあるかどうか、専門家による検討を行うことにしています。

この検討を行う基準はマグニチュード6.8で、今回推定されている地震の規模はマグニチュード6.6と基準に達していませんでした。

一方、専門家は、地震が想定震源域の中で発生し、南海トラフ巨大地震と全く関係がないとは言えないと説明しています。

また、想定震源域ではいつ巨大地震が発生してもおかしくない状況に変わりはありません。

このため、家具の固定やいざというときの避難先や連絡手段の確認、必要な備蓄などを改めて進めるようにしてください。

今後の注意点

気象庁は、今後1週間ほどは同じ程度の規模の揺れを伴う地震に注意するよう呼びかけています。

揺れの強かった地域では、倒れかかった建物や看板、ブロック塀などに被害出ている可能性もあります。

17日夜の地震のあとも体に感じる地震が続いているので十分な注意が必要です。

今回の地震で四国の各地では土砂崩れが確認されています。

四国では20日以降、雨が予想されていることから、土砂災害の危険性が通常より高まっていることに注意が必要です。