【17日詳細】イスラエル イランへの対抗措置検討 時期と方法は

イランの大規模攻撃をうけて、イスラエル政府は対抗措置を検討していますが、地元メディアは、「反撃の時期は、まだ決まっていない」と伝えています。

国際社会が自制を求める中、イスラエルの対抗措置が、いつ、どのような形になるのかが、焦点となっています。

※日本時間4月17日の動きを随時更新してお伝えします。

“反撃方法を決めたが 時期は未定” イスラエルメディア

多数のミサイルと無人機を使った大規模な攻撃を受けたことに対し、イスラエルは、イランへの対抗措置の検討を続けています。

この対抗措置については、戦時内閣が協議していますが、意見の対立も伝えられ、イスラエルのメディア、「エルサレム・ポスト」の電子版は16日、複数の関係者の話として、「イスラエル軍は、イランと、イランが支援する勢力への反撃の方法を決めたが、時期はまだ決まっていない」と伝えています。

対抗措置の具体的な内容については触れていませんが、週明けから、ユダヤ教の重要な祭日、「過越しの祭り」が始まり、およそ1週間にわたって続くことから、反撃は差し迫っていないという見方も伝えています。

国際社会が自制を求める中、イスラエルの対抗措置が、いつ、どのような形になるのかが、焦点となっています。

イスラエルのガラント国防相は、16日、北部の国境地帯の部隊を訪れ、「中東の空は開かれていてわれわれの空軍機はあらゆる場所で活動している。われわれと戦う敵はどこにいようと攻撃を受けることになる」と述べ、中東各地で活動するイランが支援する勢力も攻撃の対象になると示唆しました。

イラン大統領 イスラエル攻撃は “抑制された作戦だった”

イランのライシ大統領は17日、軍の記念日に合わせた軍事パレードで演説しました。

この中で、イスラエルへの攻撃について「抑制された作戦だった。より大規模に行っていればイスラエルには何も残っていなかっただろう」と述べました。

その上で、「われわれの領土と国益に対するいかなる攻撃にも厳しく対処する」と述べ、イスラエルへの強硬姿勢を強調しました。

日系企業の駐在員ら イラン国外へ退避の動き

イランとイスラエルの間で緊張が高まる中、イランでは、日系企業の駐在員らが国外に退避する動きが進んでいます。

現地の日本大使館によりますと、イラン国内には、およそ450人の日本人が暮らしています。

イランが大規模攻撃を行って以降、イスラエルによる対抗措置を懸念して、現地に拠点を置く日系企業の駐在員やその家族を中心に、周辺国や日本へ退避する動きが進んでいるということです。

イスラエル報道官 “対応しないわけにはいかない”

イランがイスラエルに向けて多数のミサイルと無人機を使った大規模な攻撃を仕掛けたことを受け、イスラエル政府は対抗措置を検討しているものとみられます。

イスラエル軍のハガリ報道官は16日、「イランの攻撃に対応しないわけにはいかない。われわれが決めた時期と場所で行動をする」と述べて、あくまでも対抗措置を辞さない姿勢をアピールしました。

アメリカのNBCテレビはアメリカ政府の当局者の話として、シリアにあるイランが支援する勢力の軍事施設を攻撃する可能性があるという見方を伝えています。

一方でCNNテレビは関係者の話として、イスラエルがイラン国内への限定的な攻撃を検討しているという情報があると伝えるなど、さまざまな選択肢が取り沙汰されていて、イスラエル側がどのような対応をするか予断を許さない状況です。

“イスラエル戦時内閣のメンバーで意見対立” 米紙報道

ロイター通信は、3度目の戦時内閣の閣議が17日に延期されたと伝えています。

アメリカの有力紙ウォール・ストリート・ジャーナルは16日、イスラエルの戦時内閣のメンバーであるネタニヤフ首相とガラント国防相、それにガンツ前国防相は互いに信頼していないとして、ガザ地区での軍事作戦などを巡って意見が対立していると伝えています。

その中で、イランにどう対抗措置をとるかという大きな決断を迫られていると対応の難しさを伝えています。

対抗措置 同盟国と関係損なうなら「反対」74%

イスラエルの複数のメディアは16日、ヘブライ大学の世論調査の結果としてイランによる大規模攻撃へのイスラエルの対抗措置について、回答者の74%が同盟関係にある国々との関係を損なうのであれば反対すると答えたと伝えました。

「タイムズ・オブ・イスラエル」によりますと、この世論調査はヘブライ大学が今月14日と15日にインターネットと電話で実施し、1400人余りが対象となったということです。

イランへの対抗措置について、同盟関係にある国々との関係を損なうのであれば反対すると答えた人は74%にのぼったとしています。

一方、同盟関係にある国々との関係を損ねたとしても対抗措置に賛成すると回答したのは26%だったとしています。

また、持続可能な防衛態勢を確保するため、同盟関係にある国々からの政治や軍事面の要求に積極的に応じるべき、と回答したのは56%にのぼったとしています。

米高官 “数日中にイランに対し新たな制裁科す計画”

アメリカ・ホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は16日、声明を発表し、イランによるイスラエルへの大規模攻撃を受けて、数日中にアメリカとしてイランに対して新たな制裁を科す計画を明らかにしました。

制裁対象としてはミサイルや無人機の開発を含むほか、革命防衛隊や国防当局を支援する団体をあげています。

そして同盟国や友好国も、近くイランに対して独自の制裁を科すことを見込んでいるとしています。

また、イランのミサイルや無人機による攻撃の有効性を低下させるため、中東地域で、ミサイル防衛と早期警戒システムの強化に取り組むと強調しました。

プーチン大統領 “新たな対立 防ぐこと望む”

ロシアのプーチン大統領は、イランのライシ大統領と電話で会談し、「地域全体に破滅的な結果をもたらす新たな対立を防ぐことを望む」と述べ、すべての当事者に自制を求めました。

イランがシリアにある大使館が攻撃を受けたことへの報復だとして、イスラエルに大規模な攻撃を仕掛け、中東で緊張が高まる中、ロシアのプーチン大統領は16日、イランのライシ大統領と電話で会談しました。

ロシア大統領府によりますと、この中でプーチン大統領は「すべての当事者が合理的な自制を示し、地域全体にとって破滅的な結果をもたらす新たな対立を防ぐことを望む」と述べました。

これに対しイランのライシ大統領は「イランの行動は必要に迫られたもので、かつ限定的なものだった」と強調すると同時に「イランはこれ以上緊張を高めるつもりはない」と述べたということです。

ロシアは、おととしウクライナへの軍事侵攻を開始してから、イランとの間で軍事的な連携を強めています。

英スナク首相 “冷静さを保つべき”

イギリスの首相官邸はスナク首相が16日、イスラエルのネタニヤフ首相と電話会談したと発表しました。

それによりますと、スナク首相は、イスラエルの安全と周辺地域の安定を支持すると伝え、これに対してネタニヤフ首相は、イランがイスラエルに向けて発射した無人機をイギリス軍の戦闘機が撃墜したことに感謝の意を示しました。

さらにスナク首相は、イランは今回の攻撃で国際的に孤立を深めたと指摘するとともに、ネタニヤフ首相に対し事態をエスカレートさせる行為は誰の利益にもならず、中東の治安を悪化させるだけで、冷静さを保つべきだと強調したということです。

一方でスナク首相は、パレスチナのガザ地区の人道危機について重大な懸念を抱いているとした上で、支援物資を搬入するための新たなルートをできるだけ早く開けるなどの対応をとるようイスラエル側に注文をつけたということです。

独ショルツ首相 “エスカレーション止めるための行動を”

中国を訪れていたドイツのショルツ首相は16日、習近平国家主席や李強首相との一連の会談を締めくくる北京で開いた会見で、イランによるイスラエルへの大規模攻撃についても会談で取り上げたとした上で「この状況の中であらゆる国がこれ以上のエスカレーションを止めるため行動することが特に重要だ」と述べ、緊張の緩和に向け中国の役割にも期待を示しました。

一方、中国外務省によりますと、習主席とショルツ首相が中東パレスチナのガザ地区の情勢について、事態の拡大を防ぐべきだという認識で一致したということです。

中東情勢をめぐって、ドイツのベアボック外相は16日、首都ベルリンで開いた記者会見で中東地域の緊張を緩和するためとして、イスラエルを訪問することを明らかにしました。

ドイツ外務省によりますと、ベアボック外相は、17日、ネタニヤフ首相やカッツ外相などと会談を予定しているということです。