米中の国防相 1年5か月ぶりに会談 関係安定化ねらい

米中の首脳が国防当局の対話の再開で合意したことを受け、アメリカのオースティン国防長官と中国の董軍国防相がオンラインで会談しました。

国防相会談が行われたのはおよそ1年5か月ぶりで、アメリカとしては、ウクライナや中東の情勢への対応に追われる中、中国との関係を安定化させるねらいがあったとみられます。

アメリカのバイデン大統領と中国の習近平国家主席は去年11月の米中首脳会談で、それまで途絶えていた国防当局の対話を再開することで合意しました。

アメリカ国防総省は16日、この合意の一環としてオースティン国防長官と董軍国防相がオンラインで会談したと発表しました。

会談の中でオースティン長官は米中の軍どうしの偶発的な衝突を回避するための防衛当局者間の協議が再開したことなどに言及し「軍どうしの連絡ルートを引き続き、開くことの重要性を強調した」としています。

さらにオースティン長官は、南シナ海で中国の船がフィリピンの船へ威圧的な行動を繰り返していることを念頭に、国際法で保証された公海での航行の自由を尊重するよう求めたほか、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調したとしています。

米中国防相会談が行われたのはおととし11月以来、およそ1年5か月ぶりです。

アメリカとしてはウクライナや中東の情勢への対応に追われる中、中国との関係を安定化させるねらいがあったとみられます。

中国 台湾と南シナ海についてアメリカ側をけん制

中国国防省によりますと、董軍国防相はアメリカのオースティン国防長官とのオンライン会談で「軍事分野は二国間関係の発展を安定させ、重大な危機の発生を防ぐ鍵となる。衝突も対立もせず開放的で実務的な協力を行い、相互信頼を徐々に積み上げていくべきだ」と述べ関係の安定化に向けて意欲を示しました。

一方で董国防相は台湾について「中国の核心的利益の中の核心であり、決して損なわれてはならない。『台湾独立』の活動や外部による支援は決して放任しない」と強調しました。

また南シナ海については「アメリカ側は中国側の確固たる立場をはっきりと認識し、中国の領土主権と海洋権益を尊重しなければならない」とけん制しました。

中国としては、関係安定化には台湾と南シナ海についてアメリカが中国の立場を尊重することが前提になると改めてくぎを刺した形です。