イスラエル軍“イランの攻撃に対応しないわけにはいかない”

イランによる大規模攻撃を受けてイスラエル政府は16日も閣議を開き、対抗措置について検討を重ねているとみられます。対抗措置をめぐってはイラン国内だけでなく国外のイランが支援する勢力への攻撃など、さまざまな選択肢が取り沙汰されていて、予断を許さない状況です。

イランがイスラエルに向けて多数のミサイルと無人機を使った大規模な攻撃を仕掛けたことを受け、イスラエルでは16日も戦時内閣の閣議が開かれ、対抗措置について検討を重ねているとみられます。

イスラエル軍のハガリ報道官は16日「イランの攻撃に対応しないわけにはいかない。われわれが決めた時期と場所で行動をする」と述べて、あくまでも対抗措置を辞さない姿勢をアピールしました。

アメリカのNBCテレビはアメリカ政府の当局者の話として、シリアにあるイランが支援する勢力の軍事施設を攻撃する可能性があるという見方を伝えています。

一方でCNNテレビは関係者の話としてイスラエルがイラン国内への限定的な攻撃を検討しているという情報があると伝えるなど、さまざまな選択肢が取り沙汰されていて、イスラエル側がどのような対応をするか予断を許さない状況です。

一方、ガザ地区での戦闘の休止や人質の解放をめぐる交渉について、イスラエルのメディアは、イスラム組織ハマスが、戦闘休止と引き換えに解放する用意ができている人質の数を、20人以下と主張していると報じました。

仲介国などからハマス側に提示された案では40人を解放するとされていたことから「ハマス側は合意を望まず、地域紛争の激化を求めている」とするイスラエル当局者の話などを伝えています。

ハマスは、イスラエル軍のガザ地区からの撤退などを伴う完全な停戦を求めていて、双方の立場は隔たったままで、交渉の行方は一層不透明さを増しています。

世論調査 7割が「同盟関係を損なうなら反対」

イスラエルの複数のメディアは16日、ヘブライ大学の世論調査の結果として、イランによる大規模攻撃へのイスラエルの対抗措置について、回答者の74%が同盟関係にある国々との関係を損なうのであれば反対すると答えたと伝えました。

「タイムズ・オブ・イスラエル」によりますと、この世論調査はヘブライ大学が今月14日と15日にインターネットと電話で実施し、1400人余りが対象となったということです。

イランへの対抗措置について、同盟関係にある国々との関係を損なうのであれば反対すると答えた人は74%にのぼったとしています。

一方、同盟関係にある国々との関係を損ねたとしても対抗措置に賛成すると回答したのは26%だったとしています。

また、持続可能な防衛態勢を確保するため、同盟関係にある国々からの政治や軍事面の要求に積極的に応じるべき、と回答したのは56%にのぼったとしています。

英首相 ネタニヤフ首相と会談“冷静さ保つべき”

イギリスの首相官邸はスナク首相が16日、イスラエルのネタニヤフ首相と電話会談したと発表しました。

それによりますと、スナク首相はイスラエルの安全と周辺地域の安定を支持すると伝え、これに対してネタニヤフ首相は、イランがイスラエルに向けて発射した無人機をイギリス軍の戦闘機が撃墜したことに感謝の意を示しました。

さらにスナク首相は、イランは今回の攻撃で国際的に孤立を深めたと指摘するとともに、ネタニヤフ首相に対し事態をエスカレートさせる行為は誰の利益にもならず、中東の治安を悪化させるだけで、冷静さを保つべきだと強調したということです。

一方でスナク首相は、パレスチナのガザ地区の人道危機について重大な懸念を抱いているとした上で、支援物資を搬入するための新たなルートをできるだけ早く開けるなどの対応をとるようイスラエル側に注文をつけたということです。