IMF “世界経済上方修正も 情勢緊迫化で物価上昇などリスク”

IMF=国際通貨基金は、世界経済の最新の見通しを発表し、ことしの世界全体の経済成長率は3.2%と、これまでより0.1ポイント上方修正しました。一方、ウクライナ情勢や中東情勢の緊迫化による物価の上昇などを、今後のリスクだと指摘しています。

IMFが16日に発表した最新の見通しによりますと、ことしの世界の経済成長率は3.2%とし、前回1月時点より0.1ポイント引き上げました。

アメリカで予想を上回る経済成長が続いていることなどが要因で、アメリカのことしの成長率は2.7%と、こちらも前回1月時点より0.6ポイント引き上げました。

一方で、IMFは、
▽ウクライナ情勢や中東情勢の緊迫化による物価の上昇や
▽インフレによる金利の上昇などを今後のリスクだと指摘しています。

国別では、
▽中国の成長率は4.6%で、前回から据え置きましたが、「問題を抱えている不動産市場に関する包括的な対策を打たないかぎり成長が鈍化する可能性があり、そうなれば貿易相手国が打撃を受ける」としています。

▽日本の成長率は、前回と同じで去年の1.9%から0.9%に鈍化すると予想しています。
外国人観光客の急増という一過性の要因が薄れるためだとしています。

このほか、
▽ロシアの成長率は3.2%と、前回から0.6ポイント引き上げられました。
労働市場のひっ迫を受けて賃金が上昇し、民間消費が好調なことなどが堅調な経済の要因だとしてきましたが、来年は、こうした効果が薄れ、1.8%に鈍化するとしています。