気温上昇続くと 2040年 熱中症で救急搬送される人の数が倍増も

気候変動への対策が進まず、気温の上昇が続くと、2040年には、東京都や大阪府などで夏に熱中症のため救急搬送される人の数が倍増するというシミュレーション結果を名古屋工業大学などのグループがまとめました。

このシミュレーションは名古屋工業大学の平田晃正教授と海洋研究開発機構のグループが行いました。

グループでは、国際的な気候変動の予測を元に気候変動への対策が進まなかった場合、2040年に世界の平均気温が産業革命前に比べて2度上昇すると想定し、その際の東京都と大阪府、それに愛知県の詳細な気温を推定しました。

そして、高齢化率などの条件を考慮して2040年の熱中症の患者数をシミュレーションしたところ、7月と8月の夏場に熱中症で救急搬送される人の数はいずれも一日当たりで、東京都が132.9人、大阪府が105.3人、愛知県が105.4人という結果になったということです。

2019年までの7年間の平均と比べると、東京都がおよそ2倍、大阪府がおよそ1.8倍、愛知県がおよそ1.9倍となりました。

気候変動をめぐっては、「パリ協定」に基づいて、各国が世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べて1.5度に抑えるよう努力することを目標に掲げています。

平田教授は「気候変動が進むと、生活に大きな影響が出ることを裏付ける結果となった。救急がひっ迫すると熱中症だけでなくほかの患者の搬送にも影響が出るおそれがあるので熱中症を防ぐ対策も考えておく必要がある」と話しています。