ドイツ ウクライナに「パトリオット」1基 新たに供与へ

ウクライナでロシア軍のミサイル攻撃による発電所の被害などが深刻化するなか、ドイツ政府は、ウクライナが強く求めていた地対空ミサイルシステム「パトリオット」を新たに供与すると発表しました。

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は先月下旬以降、各地で発電所などエネルギー施設をねらったミサイルや無人機による攻撃を強めていて、11日にはキーウ州内で最大の火力発電所が破壊されるなど深刻な被害が出ています。

こうしたなか、ドイツ政府は13日、「ウクライナの都市やインフラへのロシアのテロは計り知れない苦しみをもたらしている」としてウクライナに対してパトリオット1基を新たに供与すると発表しました。

ドイツ政府はこれまでに2基のパトリオットを供与していて新たな供与はただちに行われるとしています。

ウクライナ大統領府によりますとゼレンスキー大統領は、ドイツのショルツ首相との電話会談で「ウクライナにとって危機的な時期での真の支援の表明だ。ほかのすべての支援国の首脳が続くように呼びかける」と述べ、謝意を示しました。

ゼレンスキー大統領は今月6日に放送された地元メディアのインタビューでロシア軍の攻撃から全土を守るためには25基のパトリオットが必要だと訴えていました。

一方、ウクライナ軍のシルスキー総司令官は13日、SNSに東部の前線の状況について投稿し、ロシア軍が先月行われた大統領選挙のあと、東部ドネツク州のバフムトとリマンの方面で戦車などによる攻勢を大幅に強めていると明らかにしました。

暖かく乾燥した天候で戦車が走行できるようになったためだとした上で「ロシア軍は大きな損失にもかかわらず、新たな装甲部隊を配置して攻勢を強めており、ときおり、戦術的な成功も収めている」と述べ、ウクライナが東部で厳しい戦況に直面していることがうかがえます。