そのとき 大谷翔平は… 水原元通訳 破綻への時系列を振り返る

アメリカの捜査当局が発表した訴状で明らかになった水原容疑者とブックメーカー側の生々しいテキストメッセージのやり取りの数々。

これらと当時の原稿や担当記者のメモをもとに大谷選手がその時どのような状況だったのか時系列で照らし合わせました。

※大谷選手の状況についての部分は背景を水色にしています。

2021年9月8日ごろ

2021年9月8日ごろ水原元通訳が違法賭博のウェブサイトのアカウント番号とパスワードを付与される。

大谷選手はホームラン43本、ピッチャーとして9勝をあげ、 ベーブ・ルース以来、103年ぶりとなる「2桁勝利、2桁ホームラン」に王手をかけていた時期。

バッターとしてはホームラン王のタイトルを争っていて、8日はサンディエゴでのパドレス戦だったが当時はナショナルリーグに指名打者制が導入されていなかったため大谷選手は試合には出場せず休養日だった。

2021年9月24日ごろ

2021年9月24日ごろ水原元通訳が「大学サッカーのUCLAに賭けたけど負けた!」とメッセージを送信。

大谷選手は24日に本拠地でマリナーズ戦に出場。

ホームラン王争いではトップを1本差で追いかける。

当時、プレーオフ進出を激しく争っていたマリナーズから5打席で敬遠2つを含むフォアボール4つと徹底して勝負を避けられた。

2021年10月31日ごろ

2021年10月31日ごろ水原元通訳がブックメーカー2に対して「ブックメーカー1に遅くなって申し訳ないと伝えて欲しい。電子送金をした経験がなくて」とメッセージを送信。

大谷選手は日本時間11月15日に東京の日本記者クラブで会見。

投打の二刀流で躍動した歴史的なシーズンを振り返った。

新型コロナの感染対策のため当時はアメリカから日本への帰国時に2週間の自主隔離期間が求められていたため、この時期はすでに大谷選手と水原元通訳も日本に帰国していたと見られる。

このメッセージの後も送金についてのやり取りが続く。

訴状では11月10日に4万ドルを送金したとされる。

また、大谷選手が会見で水原元通訳への感謝を述べた11月15日ごろには水原元通訳は「5万ドルを送金する。5~7営業日かかるかも」などというメッセージあり。

2022年1月15日ごろ

2022年1月15日ごろ水原元通訳が「クソ、全部負けた。5万、バンプできないか(賭けの上限を引き上げられないか)」とメッセージを送信。

この時期、大リーグは労使協定の交渉が難航し、「ロックアウト」の期間中。

球団職員は選手と一切接触や連絡を取ることができなかったため、水原元通訳は一時的にエンジェルスの球団職員を辞めて大谷選手の自主トレーニングをサポートしていた。

2022年11月14日ごろ

2022年11月14日ごろ水原元通訳が「自分は本当にスポーツ賭博が苦手だ。もう1度バンプ(上限額の引き上げ)をお願いできないか。知ってのとおり、私が金を払わないという心配はないので!」とメッセージを送信。

大谷選手はシーズンオフの自主トレーニング中。

11月17日にはシーズンMVP=最優秀選手の発表があり、大谷選手はヤンキースのジャッジ選手に次ぐ2位で2年連続の受賞は逃した。

水原元通訳は10月に行ったNHKのインタビューでジャッジ選手と大谷選手の白熱するMVP争いについて「余裕で翔平がMVP」と話していた。

2023年6月20日ごろ

2023年6月20日ごろ水原元通訳が「週に500しか送金できないようだ。きょう500送ったので、あすにはあなたの口座に届くはずだ」と送信。

大谷選手になりすまして大谷選手の口座から50万ドルを送金したとされる。

20日は大谷選手が週間MVPを受賞した日。

1週間の7試合でホームラン6本を打ち、自身5回目の週間MVP受賞でイチローさんが持つ日本選手の最多記録に並んだ。

2023年6月23日ごろ

2023年6月23日ごろ水原元通訳が「最後にもう1回だけバンプをお願いできないか?これが当分の間、最後の引き上げだと約束する」とメッセージを送信。

23日、大谷選手はコロラド州デンバーでロッキーズ戦に出場。

25号ホームランを打ち、日米通算200号を達成した。

2023年11月17日ごろ

2023年11月17日ごろブックメーカー1が水原元通訳に対して「おい、一平。金曜の午後2時だけど、なぜ私の電話に折り返さないんだ。今ニューポートビーチにいて、被害者A(大谷選手)が犬の散歩をしているのが見える。このまま連絡がつかないなら、彼にどうすれば君と連絡が取れるのか聞くぞ。すぐに電話をくれ」とメッセージを送信。

11月16日にシーズンMVPが発表され、大谷選手は自身2回目のMVPを受賞した。

2回目の満票受賞で大リーグ史上初の快挙を達成した翌日だった。

水原元通訳は11月19日に返信。

「正直に言うと、ここ数年暗号資産で大損をした。このスポーツ(賭博)でもだ。私はあまりに多くを失った。もちろん自分が悪いことはわかっている」

2023年12月15日ごろ

2023年12月15日ごろブックメーカー1が水原元通訳に対して「忙しいのはわかるが、少しは敬意を払え。今夜までに電話してくれ」とメッセージを送信。

水原元通訳は「本当に申し訳ない。決してあなたを軽視するつもりはない。ただ、めちゃくちゃに忙しかったんだ。最近、すべてが本当に大変だったんだ」と返した。

このオフ、エンジェルスからFA=フリーエージェントとなった大谷選手は9日にドジャースとの契約を発表。

メッセージを送った前日の14日はドジャースタジアムで入団会見に臨んだ。

通訳はもちろん水原元通訳だった。

2024年1月6日ごろ

2024年1月6日ごろブックメーカー1が水原元通訳に対して「おまえのせいで、収拾がつかなくなっている。きょう中に連絡がない場合、もう私の手には負えない」とメッセージを送信。

水原元通訳は「すみません。2日前に日本から戻ったばかりで、あすにはまた出発する。戻るのは1月中旬になる。正直言って、今本当に大変なんだ」と返した。

日本時間の1月11日にアメリカの駐日大使がSNSで大谷選手が大使館を訪問したことを投稿。

愛犬のデコピンにビザを発給する画像を投稿するなどほほえましいひと幕があった。

その後、大谷選手は水原元通訳を伴って2月5日にはアリゾナ州のキャンプ地で自主トレーニングをする様子が捉えられ、9日から新天地・ドジャースでのキャンプをスタートさせた。