慰安婦問題著書 名誉毀損に問われた名誉教授に無罪 ソウル高裁

慰安婦問題をめぐる著書を出版した韓国の大学の名誉教授が、元慰安婦に対する名誉毀損の罪に問われて有罪判決を受けたものの、韓国の最高裁判所が審理のやり直しを命じた裁判で、高等裁判所は12日に「著書の表現は学問的な表現であり妥当だ」として、無罪を言い渡しました。

韓国のセジョン(世宗)大学のパク・ユハ(朴裕河)名誉教授は、2013年に出版した慰安婦問題をめぐる著書「帝国の慰安婦」の中で「女性たちは旧日本軍と同志的な関係にあった」とか「自発的に慰安婦になった」などと記述し、元慰安婦の名誉を傷つけたとして、名誉毀損の罪に問われています。

1審では無罪、2審では一転して、罰金1000万ウォン、日本円で110万円余りの支払いを命じる有罪判決が言い渡されたものの、韓国の最高裁判所は去年、2審判決を取り消したうえで、高等裁判所に無罪の趣旨で審理をやり直すよう命じていました。

12日にソウル高等裁判所は「過去に有罪認定された表現は、学問的な表現であり妥当で、名誉毀損と見ることはできない」として、無罪を言い渡しました。

学問や表現の自由をめぐって争われた裁判で、改めて無罪となったことに、パク名誉教授は判決後「告訴されてから9年10か月の間とても大変だったが、支援してくれた方に感謝する。表現に関する誤解がとけ、これ以上政治的に利用されないことを願う」と述べました。