【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(4月12日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる4月12日(日本時間)の動きをお伝えします。

(日本とウクライナ、およびロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

プーチン大統領 ウクライナのエネルギー施設攻撃は報復と主張

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は、ウクライナ各地のエネルギー関連施設を標的にした攻撃を繰り返し、キーウ州では州内最大の火力発電所が破壊されたり、東部ハルキウ州で大規模な停電が起きたりするなど、深刻な被害が出ています。

ロシアのプーチン大統領は11日、クレムリンでベラルーシのルカシェンコ大統領と会談し、この中で「ロシアのエネルギー施設が攻撃されたので対応を余儀なくされた」と述べ、報復だと主張しました。

そのうえで「目標のひとつであるウクライナの非軍事化とも関連するものだ」として、攻撃を続ける考えを示しました。

ウクライナ提唱の和平案実現目指す協議“ロシア抜きでは無意味”

プーチン大統領は、スイス政府が6月の開催を発表した、ウクライナが提唱する和平案の実現を目指すハイレベル協議について、「われわれは招待されていない。さらに彼らも、われわれなしでの解決は不可能だと言っている」と述べ、ロシア抜きの協議は無意味だとけん制しました。

ウクライナ外相 “ミサイル攻撃防ぐ「パトリオット」が不足”

ロシア軍はウクライナ東部を中心に攻勢を強めていて、ウクライナのクレバ外相は、アメリカの有力紙、ワシントン・ポストのインタビューの中で、ロシアのミサイル攻撃を防ぐ地対空ミサイルシステム「パトリオット」が不足しているとして、欧米諸国への働きかけを強めていると明らかにしました。

ザポリージャ原発への攻撃「絶対に許されない」IAEA事務局長

ロシア軍が占拠を続けるウクライナ南部のザポリージャ原発を巡って、ロシア側は4月9日まで3日連続でウクライナ軍の無人機による攻撃を受けたと発表しました。

一方、ウクライナ側はロシアの自作自演だと反発し、ロシアによる攻撃だとしています。

こうしたなか、両国の要請で、IAEAの理事会の緊急会合がオーストリアのウィーンで開かれました。

会合の冒頭、IAEAのグロッシ事務局長は、4月7日の攻撃では原子炉がある建物の屋根を直撃したと説明し、「原発への攻撃は絶対に許されない。攻撃は原子力の安全を危険にさらすことを意味する」と述べ、強い危機感を示しました。

また、今回の攻撃で原発の安全性が深刻に脅かされる事態は起きていないとしながらも、「今後も同じであると考えるのは無責任だ」とも述べ、自制を求めました。

一方で、攻撃がどの国によるものかは明言しませんでした。

ザポリージャ原発は、砲撃などによって原子炉の冷却に必要な外部からの電力の供給が途絶える事態がたびたび起きていて、原発の安全性への懸念が続いています。

ロシア軍の大規模攻撃 キーウ州最大の火力発電所が破壊される

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は11日、ウクライナ各地にミサイルや無人機による大規模な攻撃を行い、キーウ州で最大の火力発電所が破壊されました。

また東部ハルキウ州では、エネルギーのインフラ施設が被害を受け、ウクライナ大統領府のクレバ副長官によりますと、20万戸以上で停電が起きているということです。

ウクライナ議会 軍の動員に関する改正法案を可決

ウクライナの議会にあたる最高会議は、軍の動員に関する改正法案を賛成多数で可決しました。

改正法案では、18歳から60歳の男性は60日以内に住所や家族などの個人情報を改めて軍に登録することが義務づけられています。

ウクライナでは前線での兵士の不足が課題となっています。また、軍が、動員の対象となる男性の所在を把握できていないケースが少なくないとされています。法律で登録を義務づけることで動員逃れを防ぐねらいがあるとみられます。

採決に先立ち、軍のソドル司令官は議会で「敵はウクライナ軍の7倍から10倍はいる。兵士が足りていない」と訴えました。

一方、こうした改正法案には国民からの反発も予想され、ゼレンスキー政権がどこまで具体的な対応をとるかは不透明な情勢です。

動員の改正法案とは

今回、可決された軍の動員に関する改正法案では、18歳から60歳の男性は法律が施行してから60日以内に住所や家族などの個人情報をあらためて軍に登録することが義務づけられるほか、登録したことを証明する書類を常に所持することも義務づけられます。

登録を行わなかった場合には、車の運転を制限したり、国外では領事サービスを提供しなかったりするとしています。

軍としては登録を厳格に行うことで、動員の対象となる男性の人数や所在を正確に把握し、今後、追加の動員を行う場合に、動員逃れを防ぐねらいがあります。

改正法案は去年12月に議会に提出されましたが、多くの修正が入り、地元メディアによりますと、動員を逃れた場合に不動産の取り引きを制限したり、国からの給付を停止したりするといった厳しい罰則は盛り込まれませんでした。

一方で、改正法案では当初、動員した兵士を36か月で交代させる条項が盛り込まれていましたが、地元メディアは軍の反対により削除されたと伝えています。

改正法案はゼレンスキー大統領が署名すると成立します。