「国境なき記者団」スタッフが香港で入境拒否に

国際的なジャーナリストの団体「国境なき記者団」は香港に入ろうとしたスタッフの1人が、空港で当局から入境を拒否されたことを10日、明らかにしました。団体は「すでに悪化している香港の報道の自由がさらに後退したことを示すものだ」としています。

フランスのパリに本部がある国際的なジャーナリストの団体「国境なき記者団」によりますと台湾を拠点としているスタッフの1人が10日、香港の国際空港に到着した際、当局から6時間にわたって事情を聞かれたあと入境を拒否されたということです。

訪問の目的は、中国政府に批判的な論調で知られた香港の新聞「リンゴ日報」の創業者、黎智英氏が香港国家安全維持法違反の罪に問われている裁判を傍聴することなどでしたが、当局からのはっきりとした理由の説明はなかったとしています。

「国境なき記者団」は、去年もスタッフが2回にわたって香港に入り、裁判の傍聴などをしてきましたが入境を拒否されたのは今回が初めてだとして、香港政府に対し説明を求めています。

香港では先月、スパイ行為などを取り締まる「国家安全条例」が施行され、メディアの活動に影響が出ると懸念されていて、「国境なき記者団」は「今回の措置は、すでに悪化している香港の報道の自由がさらに後退したことを示すものだ」としています。