中国 習主席と台湾 馬前総統が会談 習主席が頼次期総統けん制

中国の習近平国家主席と台湾の馬英九前総統は北京で会談し、習主席は、台湾統一に改めて意欲を示すとともに、「中国大陸と台湾が一つの中国に属する」という考え方を認めていない台湾の頼清徳次期総統をけん制しました。

習近平国家主席は、今月1日から中国を訪れている台湾の馬英九前総統と10日、北京の人民大会堂で会談しました。

会談の前に習主席が馬前総統を出迎え、台湾のメディアによりますと2人は16秒間握手したということです。

会談で、習主席は馬氏を前総統の肩書きではなく、「さん」付けで呼び「馬さんは『92年コンセンサス』を堅持するとともに『台湾独立』に反対し両岸関係の平和と発展を推進した」と高く評価しました。

そのうえで「制度の違いは両岸が1つの国家と1つの民族であるという客観的な事実を変えられず、外部の干渉は家族と国家が一緒になる歴史の流れをとめることができない」と述べ、台湾統一に改めて意欲を示しました。

これに対し、馬前総統は習主席の中国共産党の肩書きを使って「習総書記」と呼びかけたうえで「両岸が『一つの中国』の原則を堅持し共通点を見つけ出し、異なる点は残すとともに、争いを棚上げすることで、平和と発展をともに追求すべきだ」と応じました。

「92年コンセンサス」は、1992年に、中国の共産党政権と当時の台湾の国民党政権が「中国大陸と台湾が一つの中国に属すると確認した」とされるもので、中国は、台湾との対話の前提条件としています。

台湾では、来月、民進党の頼清徳次期総統が就任する予定ですが、会談での両者の発言は「92年コンセンサス」の存在を認めていない頼氏をけん制した形です。

また日本時間のあす未明にアメリカで行われる予定の日米首脳会談で台湾情勢も議題になる見通しの中、中国は、地域の緊張緩和に努めていると印象づける狙いもあると見られます。

習主席は、台湾の最大野党の国民党に所属する馬前総統と2015年11月に史上初めての中台首脳会談をシンガポールで行っていて、両者が会うのは今回が2回目です。