なでしこジャパン ブラジルにPK戦で敗れる 国際大会の第2戦

サッカー女子の日本代表「なでしこジャパン」は、パリオリンピックに向けたチーム強化のために出場している国際大会の第2戦で、ブラジルと対戦し、ペナルティーキック戦で3人連続で失敗して敗れました。

パリオリンピック出場を決めている世界ランキング7位の日本は、チームの強化の一環としてアメリカで行われている国際大会「シービリーブスカップ」に出場していて、9日、オリンピックの予選リーグで同じグループCに入っている、世界10位のブラジルと対戦しました。

日本は前の試合のアメリカ戦から先発メンバーを6人入れ替えて臨み、前半35分に、19歳の浜野まいか選手の右サイドからクロスボールを受けた田中美南選手が、落ち着いてシュートを決めて先制しました。

後半19分には相手の反則でペナルティーキックを獲得しましたが、田中選手のゴール左を狙ったシュートが相手のゴールキーパーに防がれて、追加点を奪えませんでした。

逆に26分、相手のコーナーキックから高さのあるヘディングシュートを決められて同点に追いつかれ、試合は1対1のまま90分で決着がつかずにペナルティーキック戦に入りました。

日本は1人目の清家貴子選手、2人目の長野風花選手、3人目の長谷川唯選手が続けて失敗したのに対し、ブラジルに3人連続で決められて、0対3で敗れました。

日本はこの国際大会を出場4チーム中4位で終え、5月下旬から海外遠征を行ってオリンピックに備えることにしています。

池田太監督「決定機を決めきらないと まだ未熟」

池田太監督は「90分を通して決定機をしっかりと決めきらないとこういうふうに追いつかれ、ペナルティーキックでの敗戦という結果になってしまう。まだまだ未熟な部分を感じているし、パリオリンピックに向けて修正していかなければならない部分だ」と課題を示しました。

そのうえで「今大会の中で見ておきたいものは少し試すことができたし、中2日での移動を含めてスケジュール的なこともシミュレーションはできた。持ち帰るものは多々あり貴重な遠征となった」とコメントしました。

田中美南「パリの前にこういう経験 ポジティブに捉えて成長を」

先制ゴールを決めた田中美南選手は「日本のファーストチャンスだったので、うまくワンタッチでいいところに置けて打つことができて決まってよかった」とゴールシーンを振り返りました。

そのうえで「前線ではいいタイミング、動き出しから何回かチャンスを作れた。それをゴールにつなげられなかったことは自分自身もチームとしてもしっかりと受け止めて次に生かすしかない。パリの前にこういう経験ができたことをポジティブに捉えて、それぞれが成長していければと思う」とコメントしました。

藤野あおば「自分のところから2点はとれたはず そこが今の実力」

藤野あおば選手は「しっかり相手の状況を把握してプレーすることを意識して取り組んだ。スペースを生かしながら前を向いたシーンや、攻撃においての働きかけが個人的には手応えがある」と振り返りました。

そのうえで「得点の部分で自分のところから2点は確実にとれたはずだった。そこが今の自分の実力。自分に欠ける得点力のところが試合に出てしまった。明確に課題意識を持っているし、持ち帰ってやるべきところだと思っている」とコメントしました。

浮き彫りになった「決定力不足」どう克服するか

パリオリンピックの前哨戦として臨んだ今回の国際大会で勝利なしに終わった「なでしこジャパン」。2試合を通じて浮き彫りになったのは、「決定力不足」でした。

世界ランキング4位の強豪アメリカ、世界10位のブラジルと、いずれもオリンピック出場を決めている相手との対戦となった今大会、日本は2試合で2得点に終わりました。

押し込まれる時間が長かったアメリカ戦に比べ、9日のブラジル戦は多くのチャンスを作っただけにとくに「決定力不足」が際立つ形になりました。

この試合、日本は前半35分に田中美南選手のゴールで先制しましたが、その後は藤野あおば選手や、途中出場の上野真実選手などがシュートを打つも決めきれず、反則で得たペナルティーキックも相手のゴールキーパーに防がれて追加点を奪えませんでした。

そして同点に追いつかれたあとの後半34分、途中出場の宮澤ひなた選手が味方のスルーパスに反応してゴールキーパーと1対1の場面になりましたが、好守に阻まれて決めきることができませんでした。

ペナルティーキック戦では1人目の清家貴子選手、2人目の長野風花選手のキックが相手のゴールキーパーにコースを読まれて難なくセーブされ、長谷川唯選手も失敗して、まさかの3人連続の失敗に終わりました。

この試合で日本は相手より多くのシュートを打っていただけに、決めるべきところで決めていれば主導権を握り続け勝利できたのではないかと悔やまれる試合でした。

特に、試合中を含めて4本すべて失敗したペナルティーキックの場面では、選手たちが自信なさげに蹴っているようにも見えました。

パリオリンピックの開幕まで3か月余り。

今回の国際大会で露呈した「決定力不足」をどう克服するのか。

このあと、5月末からの海外遠征と、7月に行うおよそ2週間のトレーニングキャンプで、なでしこジャパンの修正力が問われることになります。