松江市選管 衆院補選前に説明会 “障害ある人に合理的配慮を”

今月16日に告示される衆議院島根1区の補欠選挙を前に松江市では、投票所の職員向けの説明会が9日開かれ、市の選挙管理委員会は、障害のある人が投票に訪れた際には「合理的配慮」に基づいた対応を行うよう求めました。

9日、松江市役所で開かれた説明会には、投票所の事務を取り仕切る職員、およそ50人が出席しました。

この中で、選挙管理委員会の担当者は「障害者差別解消法や市の条例によって、障害のある方に対して、合理的な配慮の提供と不当な差別的取り扱いの禁止が義務となっている。選挙では、障害の有無にかかわらず、本人の意思が確実に投票に反映されなければならない」と述べ、障害のある人が投票に訪れた際には「合理的配慮」に基づく対応を行うよう求めました。

また、今回の選挙から聴覚に障害のある人などがイラストを指でさすことで意思を表示できる「コミュニケーションボード」が市内の投票所に用意されることが報告されました。

そのうえで、利用する人が来たときには、口の動きも参考にしてもらうために目線を合わせながらゆっくり話しかけることや、質問や依頼を復唱して確認することなどを呼びかけていました。

松江市選挙管理委員会の藤川祐介事務局長は「現場の対応の中で、意思疎通ができるツールが必要だということは日ごろから感じていて、導入に至った。選挙後には障害者団体に意見を聞き、課題などの検証をして、ボードをより充実したものにしていきたい」と話していました。

島根県ろうあ連盟 青木さん「安心して投票できるように」

松江市選挙管理委員会が今回の選挙から「コミュニケーションボード」を用意することについて、島根県ろうあ連盟の理事で、聴覚に障害がある青木万里さんは「これまで、耳が聞こえないことを伝えても口頭で説明され続け、何回も悔しい思いをしたことはあるが、これがあれば安心して投票できるようになると思う」と評価しました。

また「視覚と聴覚の両方に障害がある盲ろうの方に対して、点字版のコミュニケーションボードを作ることも必要だ」と話しています。

その一方で「投票に行くうえでの課題が解決しても、そもそも、候補者の政策や訴えをよく知ることができないまま選挙に行っている現状がある。その点についても合理的配慮に基づいた対応を進めてほしい」と話していました。